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水面の鳥ーBLUEBIRD-

第2章

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咽が、乾いた。

澪は、冷蔵庫からアイスティーを出すと、氷を入れたグラスに注いで一気に飲み干した。それから、スリッパをつっかけた素足のペディキュアを眺めながら、フリスクを片手で出して頬張った。

2年間続いたフィアンセとは、彼の姉との同居が原因になって別れた。

「家族って、大切だろう。・・・どうして、君はお父さんの介護をしないの?」

「私は、『お父さん、お誕生日おめでとう』と言えないから」

そういった澪を、フィアンセの和夫は、何とも言えない嫌悪に包まれた目で見た。

ああ、そお。

私は、デスペラードだから。

僕の両親はもう亡い。姉と、同居して欲しいんだ。

いやよ。

僕は、生命保険に入ったんだ。毎月、5千円を支払っているんだ。君のために。

ああ、そお。

アディユー。

澪は、もう一人の男の事を思い出していた。・・・正確には、甥だ。澪とは19才離れている。

祖父の法事で出会った澪を、最初に口説いてきたのは甥である鷹士の方だった。・・・澪には、黒がよく似合う。これは、嫌いだった母親譲りだ。

最後まで、わざと二人で残った教会の待合室で、黒いタイトスカートの中に、手を入れてきたのは鷹士の方だった。

「悪い子ね」

「悪い、年頃ですから」

鷹士は、悪びれもせずに澪のスカートのファスナーを、器用に降ろすと、ストッキングをこれまた器用にくるくると巻き下げた。

「ここ、感じるでしょう?」

「陳腐な事、言わないの」

「あ、とか、言って下さいよ」

「聞こえるでしょう?・・・私に、恥をかかせたいの?」

「ええ、もちろん」

「・・・・・・」

「やっぱり」鷹士の目は、きらきらと光っている。

若い。綺麗な指だ。

それから、二人は3回関係を持った。・・・和夫は、何も知らない。鷹士に、女性に対する暴力癖がある事を知ったのは、2回目だった。

「いい?女に暴力を振るうくらいなら、もっともっと出世なさい。そして人を窓際に飛ばし、愛人を作って捨てなさい。・・・それが、大人のすることです」

「はい、叔母さん」

「澪、と呼びなさい」

「いやだ」鷹士は、ふくれっつらをした。

「叔母さんだから、感じるんだもの。いけない事だから、燃えるんだもの」

「仕方のない子ね」

「もっと、叱って」

「・・・・・」

「叔母さんの方が、子どもみたいですよ」

そうかも、知れない。

澪の母親は、澪に「女性の常識」を、一切教えなかった。

料理や洗濯や、掃除は、大きくなったら本で覚えなさい。男の事は、自分で体で寝てみて学びなさい。

イエス・マム。

そんな、澪と母親の一種の共犯関係が崩れたのは、もっぱら和夫の嫉妬のせいだった。・・・あの時、「君と母親は共依存関係だ」とか、言っておきながら、何故今ごろ原家族と暮らせ、と?

君は、恩知らずだ。

ああ、そお。

・・・澪は、うるさいことを言わない年下の男が、いつも気に入っていた。鷹士が、アメリカに留学した後、澪は、いつの間にか、バーチャルで男を漁るようになっていた。

東大出の両親に囲まれ、家中の書棚に囲まれて育った澪にとって、「リアルの世界」とは、いつも危険に満ちたものでしかなかった。

バーチャルなら。

4才の時から、大人の文学全集を読みこなしていた勘で、男の質はすぐ分かる。・・・金と地位を持った男の匂いも、勘で嗅ぎ分けられる。

”ブルガリ”を”ブル狩り”と、わざと変換し間違いの上で、相手をビビらせること。

平気で、1流ホテルのスイートをねだった後で、すっぽかすこと。

5億のマンションに住む、という誘惑を、あっさり聞き流すこと。

どれも、朝飯前、以前の事だった。

バーチャルは、澪にとって基本的に「安全な領海」だったのだ。

あの、男に会うまでは。

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