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籠の鳥ーJAILBIRD-

第十二章

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次の朝、亜美は洗面所で、イプサの石鹸で丁寧に顔を洗った。それから、TSUBAKIのシャンプーで髪を洗うとドライヤーで乾かした。

デイケアの扉を開けると、相変わらず、無表情な中年の人達4人が、退屈そうにトランプをしていた。

「嵯峨と申します。おはようございます」

挨拶は、軽く無視された。ただ、亜美が気になっていた、初老の看護師がこちらをむいてにこっと笑ってくれた。

「嵯峨さん、おはよう。・・・私、深津と言います。ここでは、午前中は大抵ウノかトランプをしているのよ。大貧民は知っていて?」

「ええ」

「じゃ、参加してみましょうね」

亜美は、深津サンと、4人の中年の人と、部屋の隅の椅子にいた木崎と、一緒にテーブルを囲んだ。亜美は、大貧民が得意だった。1回、2回、3回と亜美は「大富豪」になった。

深津サンは、相変わらずにこにこしていたが、木崎は最初沈黙し、次に咳ばらいをし、椅子を貧乏ゆすりし、4回目に差し掛かろうと言うところで言った。

「亜美さん、ちょっと廊下へ」

「はい」

亜美は、大人しく廊下のグレイの椅子に座った。木崎は、胸のポケットから、ジッポのシルバーのライターを取り出すと、マイルドセブンに火をつけ、亜美の横に座った。

「君は、出しゃばりだね」

「・・・・・・」

亜美は、かっとなった。が、木崎は平然と煙をたゆたせている。

「余程、我が儘に育てられらのだろう・・・と、普通の、ケースワーカーなら言うだろうね。しかし、僕は、ステロタイプな事は言わない」

「・・・・・・・」

「さっき、君のご両親にお会いした。」

「そうですか」

「君のご両親は、無責任だね」

亜美の頭は、真っ白になった。

「君は、4才の時から、教育センターに預けられていたそうじゃないか」

「はい・・・」

「あそこは、あの当時は、知的障害児のたまり場だった筈だ。・・・しかし、君はどう考えても知的障害とは程遠い」

「そうですか。・・・私、頭わるいです。出しゃばりですから」

「まあまあ」

木崎は、煙草の灰を落とした。

「君のご両親は、君を養育するという義務を、君が幼いころから、カウンセラーに丸投げしてしまったのだと、僕は考えます」

「・・・・・・」

「それが、君の行動過多を助長している」

「よく、分かりません」

「君は、難しい話は得意だそうじゃないか。いつも、センセイから聞いてるよ」

「・・・・・・」

「君の、居場所はここにはありません」

「でも、ここは安全な場所だと・・・」

木崎は、亜美の抗議を無視して続けた。

「自助グループに、参加なさい」

「自助・・・グループ?」

「例の、佐伯先生の本を、ちゃんと読まなかったの?」

「・・・・・・」

「そこに、君の居場所があります」

「居場所・・・」

木崎は、煙草の灰を、灰皿で握り潰すと、大きく伸びをした。

「あとで、資料をコピーして渡します」

深津サンの声が、廊下に響いた。

「嵯峨さん、木崎さん。昼食の時間ですよ。・・・皆で、一緒に、食べましょう」
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