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籠の鳥ーJAILBIRD-

第十三章

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亜美は、木崎と深津サンと、4人の中年の人と、揚げ物がやたらと油っぽく感じられる仕出し弁当を食べた。

「いただきます」木崎は、箸を揃えて、はっきりした発音で言った。

「いただきます」

「いただきます」

「いただきます、今日はメンチカツなのね、美味しそう」

「いただきます・・・」

亜美も、小さな声で復唱した。・・・こんな、大勢で、食事を一緒にとるのは久しぶりだ。皆、美味しそうにぎらぎらしたメンチカツを食べている。

亜美も、真似して、インスタント味噌汁を何とか、口に流し込んだ。箸が、上手く使えていない気が自分でも、ちらっとした。

食事が終わると、各自が仕出し弁当の蓋を閉めて、脇に重ねた。・・・亜美も、慌ててその真似をした。木崎は、6個の空の弁当箱を、風呂敷で包むと、階下へ降りて行った。

その、後ろ姿が消えると、亜美は尋ねた。

「あの、深津さん・・・」

「はい?」

「私、ここにいてはいけないの?」

「・・・どうして?ドクターが、何か仰った?9時から3時までは、好きなだけ、いていいのよ。」

「でも、木崎さんが・・・」

「ああ、木崎さん」深津サンは、ふっと笑った。

「もしかして、セルフヘルプグループを薦められたの?」

「はい」

「あはは。・・・あれは、木崎さんの病気だから。亜美ちゃんは、あ、ちゃんって呼んでいいかしら」

「構いません」

「亜美ちゃんは、ここでもっと、人に慣れた方がいいと私は思うわよ。お箸の使い方とかね」

亜美は、真赤になった。

「いいのよ、いいのよ。・・・それから、インスタントのお味噌汁は、各自が交代で、全員の分をお椀に注ぐ事になってるの。亜美ちゃん、出来るかな?」

「はい」

「出来ない時は、出来ません、って言っていいのよ。」

「はい」

「亜美ちゃんは、はいしか言わないんだなぁ」

深津サンは、ため息を交えて、亜美の目を覗き込んだ。

「心の中の、わだかまりを全部吐き出して。辛い時は、泣いちゃえばいいのよ。」

「・・・・・・」

亜美が、返答できず黙っていると、木崎が勢いよくドアを開けて入って来た。手には、厚いコピーを鷲掴みにしている。「亜美さん、ちょっと廊下へ」

亜美は、その時初めて、部屋の壁の全面を占めているホワイトボードの存在に気がついた。・・・いくつか、書類が貼られている。

「AA・アルコホーリクス・アノニマス」

それが、一番大きい張り紙だった。亜美は、小さな声で、そこに書いてある文章を読んだ。

「神さま、私にお与えください。自分に変えられないものを、受け入れる落ち着きを。変えられるものは、変えてゆく勇気を。そして、2つのものを見分ける賢さを」
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