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水面の鳥ーBLUEBIRD-

第30章

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それから、澪と虎久さんは頻繁に飲むようになった。

「・・・岩手に、お帰りにならなくていいのですか?」ある日、池袋の居酒屋で澪は聞いた。

「あはは。息子のところに、避難しておるのですよ。僕のような年寄りが、避難しても仕方がないのですがね」

「向こうは・・・」

「もう、そんなに危なくはないです。しかし、人気がないですね。特に若い人がいなくなった。・・・それと子ども」

「だから、私とお話されるんですか?」

「は?」

「私のこと・・・『子どもだ』って、仰ったじゃないですか」

「ははは」虎久さんは笑った。「僕は子どもは嫌いです」

「じゃ、どうして」

「どうしてかなぁ」虎久さんは、生ビールをお代わりした。

「ずるいです」

「どこが?」

「全部」

「僕はね」虎久さんは言った。「行き当たり、ばったりなんでね」

「こうやって飲んでいるのも?」

「そう」

「大人ですね」

「・・・大人は、いいことばっかりじゃない」虎久さんは、大根とツナのサラダをつまみながら呟くように言った。

「例えば・・・」澪は、ビタージンジャーエールを啜りながら言った。「私のような『子ども』に、甘えられるから?」

「その通り」

「ひどいなぁ・・・」

「嘘です」虎久さんはにっと笑った。「楽しいですよ、あなたと飲むのは」

それきり、二人は黙ってじゃが芋のフライをつまんだ。かつおの叩きをたいらげて、ソーセージの皿を空にすると、虎久さんが勘定を払った。

外に出ると、もう池袋の空は真っ暗だった。

「そろそろ終電ですかな」

「・・・帰りたく、ないです」

「おやおや」

「帰っても・・・」

「お帰んなさい」

「さみしいんです」

「・・・男の前で、そういう事を言ったらいけません」虎久さんは叱るように言った。

「どこかに」

「え?」

「連れ込み宿ってないですか」

虎久さんは爆笑した。「僕が学生の頃は、ありましたよ。20くらいの時、初めて行ったかな。・・・でも、今そんなものありません」

「残念・・・」

「ホテルなら、ありますよ」

「え?」

「行きたいの、あなたでしょう。そう、言ったでしょう」

「はい」

そのまま、虎久さんと澪は黙って歩いた。ホテルのフロントは明るかった。・・・部屋に入ると、いきなり虎久さんは澪の胸をはだけた。

「ちょっとちょっと」

「・・・」虎久さんはすばやく澪の胸に触った。澪と虎久さんは、ベッドに半分倒れ込んだ。

「ちゃんと、脱がせて下さい」

「こりゃ失敬」

それから、虎久さんは澪の口を舌でいっぱいにした。

「あ・・・」

「初めてですね」

「はい」

「澪さんはいい子だ」

「・・・厳密に言うと、初めてじゃあ」

「僕のような大人は初めてでしょう。・・・僕は、澪さんを変えたくて付き合っていた」

「変え・・る」

「こういう風にね」

「はい・・・」

「もっと、やわらかくほぐれてください」

池袋の夜は、暗く暗く更けて行った。
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