にがくてあまい午後

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水面の鳥ーBLUEBIRD-

最終章

「澪ちゃんさぁ」奈央子は、午後の誰もいない支援所で紅茶を啜りながら言った。「いじめられてるよ」

「え・・・?」

「気がつかなかったの?」

澪は、絶句した。

「澪ちゃんの持ってきたもの、みんな捨ててるよ」

「・・・」

「金持ちをひけらかしたら、駄目だよ」

「私は・・・そんなつもりは・・・」

「ないと思った」奈央子はため息をついた。「小さい頃から周囲に虐められてると、感覚が鈍って来るんだよ。私もそうだから」

「・・・」

「澪ちゃんは」奈央子は言った。「澪ちゃんにふさわしい場所に行くべきだと思う」



その晩、久しぶりにPCを開いた澪は、放りっぱなしにしていた童話を、B出版社にメールで送っておいたその返信を、たまたま見た。

よく出来ている、今、小部数だが無料出版をしている、と言うのがそのメールの主旨だった。

(また、騙されるのかも知れない)

(でも、人生にリスクはつきものなのだ)

(・・・最初から、私を犯罪者や脱落者として扱う人々と付き合うより、いいのかも知れない)

澪は、流れに身を任せる決心をした。

(人生は海原だ)

(私はそこに漂う一艘の船だ)

本当は、澪は夢みていた。・・・卓也がまたこの部屋に来る事を。澪を抱きしめてベッドに倒れ込んでくれることを。

でも。

卓也には、結婚したい相手がいるのだ。

もし、卓也とそれを承知で関係するならば、「都合のいい女」である苦痛を、受け入れなければならないのだ。

強くなりたい。

もっと、強くなりたい。

世間の言いようなど、どうでもいいほどに。

そう。

(あの人は、私と言う船に一時泊ったカモメだった)

夜は明け、澪の目はようやく覚めたのだ。

・・・もう、男性に救いを求めるのはやめよう。自分の中の力を信じて、これからは生きて行こう。

(わたしが)

(わたし自身が)

(人生の主人公にならなければいけない)

ふと、窓から外を見ると、夜の間に降り積もった雪が、白く白く明るく澪の部屋のPCを照らし出していた。
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