スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←第2章 →秋の風
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png Morning Glory
もくじ  3kaku_s_L.png Black short short
もくじ  3kaku_s_L.png DOWN BEAT
もくじ  3kaku_s_L.png 刻印-sin-
もくじ  3kaku_s_L.png あとがき
もくじ  3kaku_s_L.png 現実の林檎
もくじ  3kaku_s_L.png 短編いくつか
もくじ  3kaku_s_L.png その後の短編
【第2章】へ  【秋の風】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

刻印-sin-

第1章

 ←第2章 →秋の風
「主税先生」

葵の細く凛とした声が、カルチャーセンターの真っ白い廊下に響く。

「わたしの、先日お渡しした原稿・・・」

「あ、あれね」主税凱男はふっと笑った。「僕の、今度のTVドラマに使わせてもらったよ」

「え・・・」

「よく、書けていたからね」

「お話が・・・よく飲み込めません」

「だけどね、あれじゃプロの原稿としては無理なんだよ」凱男は背伸びをした。「だからね、僕がアレンジしたの」

「それって・・・」

「そう」凱男はふっと笑った。「と・う・さ・く」

「そんな・・・」葵はうろたえた。

「他の『とうさく』も、教えて欲しい?」

「え」

「君ね」凱男は平然と続けた。「僕ね、生徒の原稿読むとすぐ分かっちゃうの。君、清純ぶってるけど、Mでしょう」

「わたし・・・」

「ほら、ね」凱男は笑った。「もう、濡れてきてるんじゃない?」

葵は絶句した。

「こんな・・・ところで・・・よく」

「言える?」凱男は持ち前の甘い低音で言った。「君くらいだよ、僕の講座に来て僕と寝ないのは」

「・・・」

「好き、でしょう?」

「いや・・・です」

「はっきりしなさい」凱男の声は威嚇的になった。「違います、じゃなくて、『厭』なんだ」

「・・・」

「僕ね、素直じゃない子、嫌いなの」

凱男は、50才にしては背の高く張りのある躰をしている。151cmしかない葵は、凱男の見下ろすような眼鏡の奥の光に圧倒されてうつむいた。

「冗談だよ」

「じょうだん・・・」

「そう。僕、君のこと、きらいだから」

葵は、何故だか涙が出てきた。どうして、この男は自分をいたぶるのだろう。

「帰ります」

「帰れば。・・・でも、もうすっかり暗いよ。痴漢に遭っちゃうよ。・・・そんな、びっしょり濡れたまんまの気持ちでいたらね」

「ひどい・・・」

凱男の声は、急に優しげになった。「化粧室、行きなさい」

「・・・ありがとう」葵は啜り泣き出した。

「何、言ってるんだかこの子は。僕と一緒に廊下の突き当たりの男子化粧室に行くんだ」

「え」

「・・・したい、でしょ?」

「あ・・・」

「やっぱり、淫らな子だね」

葵の躰の中心部は、厭でたまらない筈なのに、しっとりと湿って来ている。・・・この、男。初めて、2時間サスペンスを見た時から、密かに憧れ続けてきた、売れっ子作家。

「・・・行きます」

「あはは」凱男はまた笑った。「今日はだめ。これから皆と麻雀に行くの」

「・・・」

「ひとりで、しなさい。素直じゃないからお仕置き」

「主税先生」

「じゃ、ね」

凱男は、カツカツと靴の音をさせて遠ざかって行った。葵は生まれて初めて、ガタガタ震え出した。

(こわい)

(こわい)

(男の人が・・・)

(だけど)

これが、主税凱男と葵の主従関係のはじまりだった。
関連記事



もくじ  3kaku_s_L.png Morning Glory
もくじ  3kaku_s_L.png Black short short
もくじ  3kaku_s_L.png DOWN BEAT
もくじ  3kaku_s_L.png 刻印-sin-
もくじ  3kaku_s_L.png あとがき
もくじ  3kaku_s_L.png 現実の林檎
もくじ  3kaku_s_L.png 短編いくつか
もくじ  3kaku_s_L.png その後の短編
【第2章】へ  【秋の風】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメン卜投稿不可です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【第2章】へ
  • 【秋の風】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。