にがくてあまい午後

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Glory
もくじ  3kaku_s_L.png Black short short
もくじ  3kaku_s_L.png DOWN BEAT
もくじ  3kaku_s_L.png 刻印-sin-
もくじ  3kaku_s_L.png あとがき
もくじ  3kaku_s_L.png 現実の林檎
  ↑記事冒頭へ  
←第14章    →ストライキ
*Edit TB(-) | CO(-) 

刻印-sin-

第13章

葵は、部屋に帰り着くとベッドに突っ伏した。後から後から、情事の余韻は溢れてきた。

(先生)

(私は先生にとって・・・何なのですか)

(ただの・・・玩具?)

凱男の科白がふいにフラッシュバックした。

「君は書ける子だよ」

「と・う・さ・く」

葵はがばっと起き上がって、茶封筒を探した。・・・ない。

(あそこに置いて来たんだ)

(危険な・・・場所に)

凱男の真の意図は。

(先生は)

(書けなくなりつつある・・・のだ)

(おそらく)

(だから、私を従順な奴隷にして、そして・・・書かせる。主税先生のペンネームで)

騙された。

葵はようやく、事の全貌を了解した。

(したたかな主税先生が、好みでない私にわざわざ手を出した・・・理由は、才能の枯渇でしかなかったのだ)

そう。

(あの原稿は・・・)

(利用される)

(主税先生に)

葵は、もう枯れ果てた涙を拭いて、部屋に立ち上がった。そして恥毛を剃るために、買い置いた敏感肌用の剃刀を、思い切りゴミ箱に放り投げた。それから、愛液をていねいにティッシュでぬぐった。

(秀彰の言う事が正しかった)

(依存すれば・・・利用されるのだ)

(蜘蛛の巣にかかった蟻のように)

もう、あのカルチャーセンターへは決して行くまいと、葵は決心した。

主税凱男は死ぬかも知れない。

でも、それが葵にとって何なのだろうか?

(おそらく・・・)

(先生は肝臓がんなのだ)

(そして、最後の傑作を発表するために、この私を生贄にしたのだ)

気がつくと、腐った蜜柑に似た夕日が、都会の空に煌々と沈もうとしていた。
関連記事
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Glory
もくじ  3kaku_s_L.png Black short short
もくじ  3kaku_s_L.png DOWN BEAT
もくじ  3kaku_s_L.png 刻印-sin-
もくじ  3kaku_s_L.png あとがき
もくじ  3kaku_s_L.png 現実の林檎
  ↑記事冒頭へ  
←第14章    →ストライキ
*Edit TB(0) | CO(0)

~ Comment ~















管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←第14章    →ストライキ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。