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刻印-sin-

第16章

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・・・どうやって立ち上がって、どうやって服を着たのか覚えていない。気がつくと、葵は泣きながら歌舞伎町の横を走っていた。何人もの男が、興味深げに振り向いた。

(いやだ)

(いやだ)

(主税先生・・・いやだ)

葵は、コートの前を半開きにしたまま泣きながら思った。

(先生の・・・「愛する、」と言う科白を半分真に受けていた)

(先生はちっとも優しくない。気まぐれで、残酷でまるで子どものようだ)

(これは・・・虐め)

葵は、駅ビルの前で立ち止まると涙をぬぐった。ふと懐かしい秀彰の声がした。「それは依存だよ」

(教会へ・・・行きたい)

(もう、原稿書くのやめたい)

(私はどうしてNOと言えないんだろう)

ふと、葵が父から殴られている時、面白そうにしていた両親に可愛がられていた知恵遅れの弟の顔が浮かんだ。

(先生は大嫌いなあの弟に、そっくりだ)

(いつも私を虐め抜く)

(きらい)

大きらいだ。

主税先生は、神さまでもなんでもない。ただの狡い子どもだ。

ぽつねんと、そのまま電車に乗ると、談笑するサラリーマンや子ども連れに囲まれて、葵は汚れた自分が惨めだった。(先生は、私がもっともっと汚れないと許してくれないだろう)

ふと、気がつくと無意識に葵は、電車を乗りついで降り懐かしい母校のJ大学の教会堂に、辿りついていた。

(神様)

(私を救ってください)

(私は、主税先生の前に無力です)

「どうしました?」

葵に語りかけるひとりの神父がいた。「いいんです・・・私」

「泣いていますよ」

葵は、ぐっと涙をこらえようとした。しかし無駄だった。後から後から、歯を食いしばっても涙はこぼれてきた。それでも、葵は言った。

「私・・・ここに来る資格がありません」

「神様は」神父は言った。「どんなに罪に汚れた人間でも、許して下さいます」

葵は号泣した。

(帰ろう)

(帰ろう)

(天なる神のもとへ・・・)

(先生を、わたしのやり方で愛したい)
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