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刻印-sin-

第24章

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やがて、ずぶぬれになった凱男と葵は、泥だらけの格好のままで何とかマンションに辿りついた。

「君、すぐにお風呂に入って躰を温めなさい」

「先生は?」

「僕が悪かった。・・・つい我慢出来なかったんだ。このままでは風邪をひくよ」

「先生だって、ずぶ濡れじゃありませんか」

「ふふ」凱男は笑った。「一緒に入る?嫌でしょ」

「・・・」

「ひとりで、入りなさい。僕は後から入る」

「・・・」

「また、したくなっちゃうからね」

「分かりました」

葵は、例の大理石の浴槽に身を沈めた。・・・湯を、出来るだけ熱くして温まろうとしたが、歯がガタガタしてきた。

(先生は)

(大丈夫だろうか)

葵はバスローブを纏って外に出ると、寒そうに肩をガチガチと震わせている凱男に言った。「今度は」「僕はいいよ。少し飲んだら温まった」「そう、言わずに」「ありがとう」

キッチンに放りっぱなしだった昼食は、冷めきっていた。お粥でも作ろうと、葵はキッチンのあちこちを見まわしたが米らしきものはなかった。暫くして、バスタオルに身を包んだ凱男がバスルームから出てきた。

「先生、あの、お米は・・・」

「ないよ」凱男はぽつんと言った。「酒が代わりさ」

「・・・」

「さっきの、君のバゲット旨そうだった」

「スープでも、作ります」

「いいよ」凱男は繰り返した。「本当に何も材料はないからね。熱い紅茶でも入れてくれ」

二人で飲む、角砂糖を沢山入れた黒っぽい紅茶は美味しかった。

「君・・・」

「え?」

「何故僕に、やらせたの?」

「・・・」

「抵抗、しなかった」凱男は繰り返した。「強姦願望でも、あるの?」

「いえ」葵は答えた。「ただ・・・」

「ただ?」

「先生のはレイプとは違います」

「・・・」

「ちゃんと、私の躰を気遣って下さってる。私が本当に望む事をして下さっている。そして決して見捨てたりしない」

「そうか」凱男は頷いた。「嬉しいよ」

そのまま、二人は肩を寄せ合って座ると、毛布を被った。その、今まで知らなかった安心感に知らず知らず葵は涙が出てきた。

「ふふ、よく泣く子だ」

「先生」

「このまま、朝まで眠ろう」

雨は激しくガラス窓に打ちつけた。・・・新宿の街の片隅の、孤独な二人の夜明けは近づいていた。
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