にがくてあまい午後

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にがくてあまい午後

自分の日常

その週の後半は、ゆるゆると過ぎた。

・・・あたしは、一人ぼっちの部屋で、けいちゃんの心境を想像するのに疲れ果てて、自助グループのお茶会に出ることにした。

土曜日の朝は、湿っぽい空気が漂ってた。

あたしは、ロッカーの鍵を開けて部屋のドアを開けて、いつものように資料を机の上に並べた。誰も来ない部屋はひんやりしてた。だけど、書記のノートが見つからない。

間もなく、仲のいい高ちゃんがやってきた。

「おはよう。・・・ノート、見つかんないんだけど・・・」

「ああ、先週の人がきっと持ってるよ」

そういって、高ちゃんは黒板に今日のスケジュールを書き始めた。あたしはほっとした。(今日も、高ちゃん司会してくれるんだ)

高ちゃんの司会は、安定感がある。

・・・無事、話し合いが終わると、いつものようにマックでお茶会をする流れになった。あたしは、オージーデリとか言うのを思い切って頼んだ。

「俺、いつも粗食だからさぁ、ここで栄養取ってるの」

「(マックで栄養?)普段何食べてんの、高ちゃん」

「二百円の惣菜に、百円の袋入りのキャベツの千切り、三回に分けて食べてる」

「油分足りないね・・・」

「うん」

高ちゃんは、一年前家を出た。超過保護のお母さんが、いやになって家出したのだ。・・・それ以来、高ちゃんは障害者枠で元気に働いてる。家を出る以前の高ちゃんは、いまよりもっと綺麗系のファッションで、だけど鬱で自助グループのはみ出しっこだった。

「あたし昨日、カレー作った」

「やるじゃん」

「へへ」

こうやって、普通に会話できるのが高ちゃんのいいとこだ。・・・あたし自身、普通に働いてないということで、自助グループではどっか「お味噌」だったから。

「俺さぁ」

「へ?」

「ルームシェアできる人、探してるの。分かち合える人」

「それはさ」

「ん?」

「口で言うよりむつかしいよ。・・・一緒にいるとどうしても喧嘩するし」

高ちゃんは、ちょっと「ふん」という顔をして、てりたまバーガーを頬張った。「やればできるさ」

あたしは、高ちゃんの意図に鈍い感じで話を横にずらした。

「こないだの、バラエティーのDVD取ってる?・・・親子の依存が話題だったやつ」

「取った取った」

「・・・貸してほしいな」

「あれ、どうやってハードディスクからCDに落とすんかな」

「無理しなくていいよ」

「いや、やってみる」高ちゃんはあっさりいうと、マックの包み紙を丸めた。「いつもありがとう」「いや、そんくらい」

あたしは、S線に乗るという高ちゃんと別れて、ごとんごとんと冷房車に揺られて思った。

けいちゃんは魅力的だ。

手放しで褒めてくれるし、大切にしてるよって空気がダイレクトに伝わってくる。・・・でも、それはけいちゃんが援助職であるせいもあるのかも知れない。

もともと情熱的な、けいちゃんではあるのだ。

でも。

現実には、あたしの、境界線を越えたプライベートな返事は、返ってこない、のだ。

あたしは、普通の友達である高ちゃんを見直す気持ちに揺れながら、電車を降りて暑い道をマンションに急いだ。蝉がうるさいくらい鳴き始めていた。

帰って、もう一度それでもフェイスブックを開きなおすと、またしてもショックな情報にぶつかった。

「いいね!鬼束ちひろ」

これは。

第一には、けいちゃんはフェイスブックを見てるけど、返事はスルーしてると言うことだ。

しかし第二に。

・・・あたしは、けいちゃんという人がわからなくなりつつあった。

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