にがくてあまい午後

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にがくてあまい午後

不安

次の日。

あたしは、朝早く薬を飲んで、そのあとうっかりご飯ときのうの味噌汁と、温泉卵とのりとおしんこを食べた。・・・お味噌汁は、冷蔵庫に入れといたのでわるくなってる感じはしなかったけど、急に食べ終わった後、気分が悪くなって吐いた。

(まずいなぁ)

(薬吐いちゃった・・・明日、受診だから予備ないし)

思ったとおり、一時間くらいするとものすごく不安になってきた。

風のうわさに入院したらしいけいちゃんのこと。・・・どうしてもすれちがってうまくいかなかった芹田のこと。あれから避けてる高ちゃんのこと。あたしは、誰ともうまくいかないんじゃないだろうか。

男に期待するのやめよう、って思っても、涙がぽろぽろ出てきた。・・・あたしはいつもパパに期待してたけど、なしのつぶてだ。

(誰かぁ)

(助けて)

気がつくと、あたしはいつもの番号をプッシュしていた。

「木村です。・・・元木さんいますか」

「ごめんね。今日はお休み」穏やかな風間さんの声がした。

「風間さん」

「ん?」

「あたし不安です」

「なにが?」

「・・・家、マンションなんかに住んでみんな贅沢だって言うけど、いつまでお金続くのかわかりません。それに、父が亡くなったら半分は母に行きます」

「・・・」

「お金のことだけじゃなく」あたしは続けた。「ひとりぼっちなんです」

風間さんはぼそっといった。「ここじゃダメかな」

「え?」

「・・・君が、今の支援所居場所がないって思ってるの何となくわかるよ。でも、ここに来れば誰かいるから」

「・・・」

「お薬、ちゃんと飲んでる?」

「いえ・・・吐いちゃって、朝」

「主治医の先生に聞いてみて、ね」電話は切れた。

あたしは、内心どうしようって思った。・・・先生は厳しいのだ。もう一度、不安だって言っても叱られるだけだろう。

(薬のことだけ聞こう)

「もしもし・・・」看護婦さんの冷たい声がした。「細川クリニックです」

「木村敦美です。細川先生、お願いします」

「あと十五分たったらかけてください」

あたしはぐるぐるする頭で十五分待った。

「あの」

「木村君、どうしたの?」

「・・・朝の薬、つい吐いてしまったんです。昼間の頓服でごまかせますか」

「一日三錠までなら結構です」

あたしは、這うように洗面所に行って白い錠剤を飲んだ。・・・それから一時間、ベッドで横になってたらかなり気分がよくなってきた。

(不安なのは)

(あたりまえだ)

けいちゃんのことは、いったん忘れようってあたしは決心した。


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