にがくてあまい午後

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にがくてあまい午後

不平等

本が、来た。

著者(なんてえらそうなもんじゃないけど)贈呈分が来たのだ。

イラストも、ちゃんとネットで自分で依頼した甲斐があって我ながらかっこよく出来てた。五十部が十部ずつ、きちんと包装されてあった。

あたしは嬉しくなって、一応スポンサーであるパパに電話した。

「やあ」

「本出来たよ・・・。まだ、書店に並ぶのは秋だけど」

「よかったなぁ。けどあんまりな」

「ん?」

「支援所の皆に、配らないようにしなさい」

「・・・」

「妬まれるからな。地震以来、特に皆金ないんだよ」

「ありがとう」あたしは小さな声で言った。

「なに、まだ本くらい出してやれる。二度三度は無理だけどな」

「ごめん・・・」

「謝ることない」パパは笑った。「いつか敦美、パパがシュークリーム買って行ったら『これいらない。BF欲しい』って泣いたろ」

「うん」

「・・・彼氏は買ってやれないけど、これは出してやれるんだ。じゃな」

電話を切って、あたしは気づいた。

あたしが本を出せるのはパパのおかげだ。・・・あんまり、好きじゃないけどでもパパのおかげだ。

世の中は不公平にできている。今も半分引きこもりのあたしも、恵まれてないとこもあるけど、恵まれてるとこも確かにある。それはパパのお蔭だけじゃない。・・・これが、ブログランキングで二位を取ったからだ。その後もあたしが、別の作品で続けて二位をとって、最新作でついに一位をランクしたからだ。

この本を送りたかったけいちゃんが。

なぜ、悔しそうな顔をしたのかあたしは理解しつつあった。

その夜。

あたしはチーフに電話した。

「本、出ました」

「そう、書けるものが書けるっていい環境よ」

「はい」

「お金があるからって遊びに来てるとか言って、とんちんかんだったわね」

人は実績で人を評価する。

「あたし」

「はい?」

「・・・もっと強くなりたいと思って、それで支援所に通ってます。それだけです」

「・・・」

「また明日」

チーフはめずらしく無言だった。あたしは多分、状況を受け入れたのだ。

ひっきーだからって馬鹿にされるのは仕方ない。・・・プチ有閑階級であるのも今のところほんとかも知れない。

でもこの本は。

あたしが勝ち取ったものだ。不平等を乗り越えて得たものだ。

これを返本の山にしないために、誰にアピールしたらいいのかあたしはその夜、頭を絞っていた。

「おもしろきこともなき世をおもしろく住みなすものは心なりけり」だ。

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