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にがくてあまい午後

不愉快

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・・・あたしは、いつものように自助グループに戻ってた。

その日、しばらくご無沙汰してた神木さんと、ぶりっこの友実がいた。あたしは気分わるくなって、逃げ出そうとしたけど遅かった。

「木村さん、可愛い帽子ね」・・・甘ったるい調子で友実が言った。よりによって、去年セールで買った五百円の帽子のことを言ってるのだ。少し、くたびれた緑のそのキャスケット帽を、神木さんがちらっと見た。

(これだから友実は)

神木さんとあたしは、実はここの自助グループの最古メンバーの一人だった。・・・時々、二人ぼっちの会合のこともあった。

神木さんは、背が高くって一見優しかった。

「男女二人で、こういう会開くのほんとはよくないんだ。でも、メンバーが集まるまでの辛抱だから我慢して、敦美ちゃん」

「はい」あたしは嬉しかった。けど。

入って来たのは自称「不思議ちゃん」の友実だった。友実は、神木さんや他の男性の前ではあたしに親切だったけど、ふたりっきりになると最悪だった。

あたしは最初我慢してたけど、友実のめちゃくちゃなメールにかなり傷ついた。・・・返信が必要な時に限って無視する。かと思うと、夜中に「不安だ」とか、他の女子の悪口を「死ね」とか、とにかく、これでもかこれでもかと送ってくるのだ。

今思うと、友実はあたしが無邪気に送ったメールの内容を、歪曲して神木さんにも怒ってたのだろう。

あたしは、結局その創立メンバーから抜けた。

・・・今、もう相当大きくなったグループの中で、神木さんと友実はだんだん「出てこない組」になっていた。だからあたしも頃を見て復帰した。

だけど友実は、相変わらずあたしを出て行かせようとしてる。

「そんな高い帽子じゃないから」

「あら、そうなの?」

神木さんは、髪をくるくるに巻いた友実を見ると肩からかけてる荷物をわざわざ半分持った。「友実ちゃん、重いでしょう」

「ううん、あたしグループにサービスするの大好きですから」友実はあまったるい声で言った。「嬉しいよ」神木さんはうっとりしたように言った。あたしはげんなりした。・・・ふと、気が付くと高ちゃんがなんともいいがたい顔で、あたしたち三人を見てた。高ちゃんは鬱時代、友実に散々に言われたのだ。「抗鬱剤飲んでると脳が腐るのよ。あたし隣に座りたくない」とか。

神木さんは。

なんで、そういうこと分からないんだろう。ちゃんと、見てないんだろう。

あたしははっとした。

背の高い、かっこいい神木さんは多分自信がないのだ。だから、友実にまいっちゃうのだ。

高ちゃんは苦労した。

・・・回復しても暫く、高ちゃんの司会に集まってくる子はいなかった。それはそうだろう。元いじられっこの司会に、はいさいですかとついていく子は普通いない。だけど、高ちゃんは頑張った。半年間、自分で会場開けして、資料を並べて、二、三人の前で黙って司会を続けた。

高ちゃんが見直されたのは半年後だった。

「こんなにいい男だって思わなかったわ」

「信頼できるよね」・・・皆、口裏をひっくり返したようにおべっかを使い始めた。だけど高ちゃんは自然体だった。

あたしは自分が恥ずかしくなった。

見かけかっこいい神木さんはただの人だった。・・・それがわかんないあたしもただのバカだった。

「みんな自分勝手だからな」

あたしはどきっとした。高ちゃんは続けた。「これじゃ、いつまでたってもチェアマンなり手いないよな」

「・・・」

「俺、帰るよ」

あたしは、DVDどうしたの、って聞こうと思ったけどなんだか聞けなかった。高ちゃんは、背を向けて階段を振り向かずに下って行った。

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