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にがくてあまい午後

本音

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その晩、あたしは牛肉のこま切れとレタスと卵を炒めて、ビーフペッパーライスを作った。冷凍の王将の餃子も焼いた。

パパはいつも通り五時に来た。

「油っぽいけど、おいしそうだな」

パパはよくしゃべった。・・・だけどあたしは、正直頭が痛くて、何演説してるんだかほとんど聞き取れないほどだった。

「敦美」

「はい?」

「あずきアイス」

「・・・」あたしは冷蔵庫からパパの好物を出した。頭は割れそうだった。「あたしちょっと、気分わるいから寝てくる」

「いいぞ別に」パパはスプーンをなめてご満悦だった。あたしは寝室にもどって突っ伏した。

パパは確かに立派だ。・・・高ちゃんも立派なのにちがいない。

だけどあたしは、立派過ぎる人と一緒にいると頭痛がするって、はっきり思った。っていうか、パパも高ちゃんもあたしのことを真剣に考えてはいるのだろう。

だけど二人とも、あたしの表情とか気分をしっかり観察したことが一度もない。・・・あたしの感情なんか、どうでもいいとしか思えない。

(けいちゃん)

(けいちゃん)

けいちゃんは、だらしないのかも知れない。・・・だけど、いつもあたしのこと、あたしの表情や気持ちをちゃんと見てた。

(りんご・・・)

(けいちゃんの買ってくれたりんご)

あたしははっと気づいた。

たぶん、牢屋みたいなアルコール依存症専門の病院で、けいちゃんはりんごと一緒にいるのだ。あたしの作ったパッチワークのりんごと。

(けいちゃん!)

あたしは叫びだしたくなった。

パパも高ちゃんも、江崎さんも神木さんも、そして今まであたしが寝た全部の人も、ただあたしにご飯作ってSEXしてほしいだけだった。

あたしの存在を。

あたしのしたことを。

あたしのつくったものを評価して、ただあたしの作ったものと、つまりあたしの心と一緒にいたいって思ってくれてるのはけいちゃんだけだ。

「おおい」

「・・・」

「パパ帰るぞ、敦美」

あたしは、それでも我慢して部屋から出た。そしてドアのチェーンを外した。パパは、あたしの顔色なんかまったく見ずにただのんきに言った。

「気をつけるんだぞ」

「(何に?)うん」

「じゃ、な」パパは出て行った。

あたしは、突然家族に対するものすごい怒りが沸きあがってくるのを抑えられなかった。側にある、ぶたのぬいぐるみを思いっきり壁にぶつけた。

あたしの気持ちをほったらかしのパパ。

あたしの邪魔ばっかりするママ。

あたしのこのマンションを羨んでる弟。

(パパここに住みたいんだ)

(ママもここに住みたいわ)

(お姉ちゃん、病院にもどって僕にここゆずって)

・・・幻聴なんだろうか。そんな、皆の「本音」が耳にこだました。家族なんてこんなもんだってあたしははっきり自覚した。

けいちゃん。

どこにいるの・・・。

どこの病院にいるの。

うっかり個人情報を漏らしたチーフから、何とかけいちゃんの居場所を聞き出さなくっちゃならない。

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