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にがくてあまい午後

疲れ

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三連休が来た。

だけどあたしは、何にも予定は入ってなかった。

朝起きて、何だか疲れがたまっているのに気付いて、洗濯した後、南高梅のおにぎりを簡単に握って、シャビイと食べた。それから、サークルのお題「エピグラフ」をやるために、大好きな室生犀星とヴェルレーヌの文庫本を、本屋で買ってこようと思ったけど、もう元気が続かなかった。

郵便受けを見たけど、広告以外何にも入っていなかった。

あたしは冷房をかけてごろっとして、ふと枕元の小さな鏡を見た。

(老けてる)

(髪もセットしてない)

・・・爪も、洗い物のせいでマニキュアが剥げている。あたしはふと、友実のくりんくりんの巻き髪と、ジェルネイルを思い出していた。

友実は努力してた。

あたしにとってはいやな子だったけど、神木さんのために努力を惜しまなかった。・・・頭のいい、神木さんの翻訳した自助グループの資料を暗記してて、いつも真っ先に会計係やら会場係に奔走してた。誰かが、神木さんに近づくと全力で、神木さんの見えないところで蹴っ飛ばして容赦なくグループから放り出していた。

それに友実は可愛い。

あたしが振られたのは、何にもしなかったからだ。・・・自分のなかに引きこもってただ、王子様を待ってたからだ。

(だめだ)

(疲れてる)

(考えがわるい方へわるい方へ行く)

でも、これは事実だ。

あたしが引きこもりをやめたのは、そんな自分がいやになったからだ。でも、家を出てもあたしの行動パターンはちっとも変ってなかったのだ。・・・ただ自分のために自分のために毎日PCに向かって小説書いてるだけだ。それだけだ。

(だめだ)

(外に出よう)

ふと、あたしは起き上がって窓から駐車場を見た。昨日の新城さんがまた、箒でぐずっとした感じでごみを掃いていた。・・・あたしは、黒のマキシワンピにサーモンピンクのTシャツをはおって外に出た。

「こんにちわ」

「あ」新城さんは嬉しそうに返事した。「こんにちわ」

「お仕事ですか?」

「いえ、休みです」新城さんはぺこっと頭を下げた。「じゃ、なんで・・・」「家に帰っても誰もおりませんので」

(そうか)

「あなたの小説ね」

「は?」

「よかったですよ。三垣先生はもっと直せって言ってましたが」

「そうですね」あたしはつぶやいた。

「男性が、童貞喪失をテーマにすることはよくありますが、女性のロストヴァージンものは僕は初めて読みました」

「はぁ」

「・・・生々しい。でもそこが面白いです」

「はぁ・・・」

「僕のどうでしたか」

「ええ」あたしは少し考えて言った。「東電の社員と元キャバ嬢の恋愛が面白かったです」

「具体的に、どこのあたりでしょうか?」

「左だなぁと思いました」あたしは率直に言った。

「左?」

「反体制的と言う意味です」

「それは意外です。僕は赤川次郎を目指しているので」

(それ古くない?)と思いつつ、「僕」と言い出した新城さんにあたしは曖昧に言った。「はぁ。ちなみに新城さん、おいくつですか?」

「いつも五十一に見られると言われます」新城さんは胸を張った。(だめだこりゃ)

「あたしもう四十二です。じゃあ」

「あの」新城さんは追いすがるように言った。「は?」

「また、書いてくださいね」

「・・・」

「僕は木村さんの作品が読みたいです」

「はい」

あたしは一礼すると、ふと空を見上げた。ぽつぽつとアスファルトに雨の染みが出来てきていた。

「台風ですな」

「いっけない、あたし洗濯物取り込まないと」

「じゃ」

「また」

部屋にもどって、大急ぎでベランダに出た。・・・ブラやバスタオルを大急ぎで取り入れながら、あたしはなんだか、疲れがさっぱり取れたことに気がついていた。

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