にがくてあまい午後

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Glory
もくじ  3kaku_s_L.png Black short short
もくじ  3kaku_s_L.png DOWN BEAT
もくじ  3kaku_s_L.png 刻印-sin-
もくじ  3kaku_s_L.png あとがき
もくじ  3kaku_s_L.png 現実の林檎
  ↑記事冒頭へ  
←第1章    →一日
*Edit TB(-) | CO(-) 

にがくてあまい午後

秋の風

次の日、もうそんなに気の狂うような暑さは遠のいていた。あたしは、冷房を消すと顔を洗って生協の化粧水と乳液をつけた。少し空いた気分を見透かすように、郵便物がどさっとまとめて来た。

(小説の会の軽井沢文学散歩のお知らせ)

(友達の短編小説朗読の会)

(エッセイ講座の先生の本の批評と、先生の本の贈呈)

いろいろ見て、カレンダーにしるしをつけてるうちにあたしはうなった。

(一番大事な、小説講座の益田先生がゲストに来る飲み会、自助グループの総会の日とだぶってる・・・)

高ちゃんが、めずらしく強硬に「出来るだけ来て」と、皆にパンフを渡した総会の日だ。

(これは無理だなぁ)

(高ちゃんの晴れの舞台なんだけど)

だけど、あたしも益田先生にどうしてもどうしてもあたしの本を渡したいのだ。

うなりながら、エッセイ講座の涼坂先生の手紙をあたしは開いた。

「暑さもだんだん収まってきましたね。主人公の置かれた壮絶な状況もさることながら、脇役を決して単なる悪役にせず、距離を置いて突っ放して書いている。これだけ書けるのは木村さんの力です。自信を持って生きていって欲しいです」

あたしはちょっと、いやかなりにやけた。・・・涼坂先生は講評が全体に甘いのだ。それはわかってるけど、やっぱり嬉しいものは素直に嬉しい。

「なお、私の作品のトークショウを二十二日に銀座でやります。よかったら来てください」

二十二日?

明後日だ。

しかも土曜日だ・・・。

これじゃえんえんと高ちゃんには会えない。

だけど。

あたしはふと芹田との最後の会話を思い出してた。「敦美さぁ」

「ん?」

「・・・俺に、合わせすぎなんだよ、いつも」

「なによいやなの?」

「俺はさぁ」芹田はめずらしく強い語調で言った。「敦美の意志で俺に賛成してくれるなら嬉しいの。だけど敦美は、気を使ってるだけだろ単に」

「それはさ・・・」

「意味がないんだよ、俺にとって」

「・・・」

「反対なら反対って、違うなら違うってはっきり言って欲しい」芹田はそっぽを向いた。「俺のこと、たいしたことないって思ってるのわかるんだよ」

「そんなことない」

「敦美は人の顔色見る割に、自分の顔色人が見てるってわからないのな」

それが最後だった。

あたしは、郵便物の束をたばねながら思った。(高ちゃんに合わせられない時もある)

明後日、自助グループをさぼることにあたしは決めた。

">
関連記事
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Glory
もくじ  3kaku_s_L.png Black short short
もくじ  3kaku_s_L.png DOWN BEAT
もくじ  3kaku_s_L.png 刻印-sin-
もくじ  3kaku_s_L.png あとがき
もくじ  3kaku_s_L.png 現実の林檎
  ↑記事冒頭へ  
←第1章    →一日
*Edit TB(0) | CO(0)

~ Comment ~















管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←第1章    →一日

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。