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にがくてあまい午後

気づき

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あたしは、いつものように就労支援所に戻っていた。けいちゃんから音沙汰はなかった。・・・自分の中で、何かがえぐられるように欠けていた。

元気ないあたしを見て、元木さんは元気づけるつもりで言った。

「敦美ちゃん、頑張ってるじゃない」

「そうかな・・・」

「頑張ってるって、自分で自分を褒めなさい。・・・心の病気の人にはそれが一番だって、昨日の夜NHKでやってたわよ」

あたしは、自分に内心言ってみた。

(敦美は頑張ってる)

(敦美はよくやってる)

・・・何だか、思ったほど元気は出なかった。自分の腕で自分を抱きしめても、あったかくならないのとおんなじだ。

その晩、あたしはめずらしくパパに言った。「敦美疲れた」

「疲れただろうな。・・・自助グループでも行ってきたらどうだ」

正直、あんまり気は進まなかった。あたしはパパのそういう言葉を期待してたのではなかった。だけど仕方なく、避けてた一番マンションの近くの公民館に行った。驚いたことに、あたしが机をがたがた並べてると高ちゃんが来た。

「こんばんは」

「こんばんは」

気の乗らない話し合いは始まった。・・・人は三、四人しかいなかった。高ちゃんは話した。

「俺、実家にいるころは親が全部間違ってるって思ってたけどそれは勘違いでした。・・・自立して、色んなことが見えてきました」

あたしは思った。

(家の問題は結局何一つ解決してない)

(一家離散して、距離的に楽になったけど、パパが本当に財産残したいのはママだ)

(あたしじゃない・・・)

あたしは愕然とした。

今、こうやって自助グループに来れてお茶代が払えるのも。

いや、詩のサークルの参加費が払えるのも。

いつまでなんだかわかりはしないのだ。

だけどあたしは働けない。

高ちゃんのお給料だったら多分、小説は続けられない。

あたしの動揺をよそに、高ちゃんはどよんとした目でしかしはっきりした声で文献を音読してた。「神さまが直感を与えます」

その通りだ。

・・・話し合いは終わった。皆で資料や机を片付けると外に出た。満月だった。・・・あたしと高ちゃんは並んで黙って歩いた。

(高ちゃんありがとう)

(いい、友達でありがとう)

(こうやって並んで歩いてくれてありがとう)

この月夜が、そろそろあたしの遅い青春の終わりかも知れないって、あたしは気づき始めていた。

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