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にがくてあまい午後

ストライキ

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日曜日に、台風が来た。

パパは例によって、ママのとこに寄った後来ると言う。

あたしは、一大決心して結婚相談所の資料をPCであちこち取り寄せていた。

障害者だってわかるとまずいのかも知れない。・・・だけどあたしは滑稽なまでに必死だった。

(この際、お金きちんと稼いでればアラカンのおじいさんがいいや)

ふと、いつもより1時間半も早くベルが鳴った。パパだ。

「やぁ」

「こんちわ」

「どうだったかい、集まりは」

「まぁまぁ」あたしはぼんやりした返事をした。「なんだそりゃ」

「・・・家にいると、はっきり見えないことが見えてくるね」

「それはそうだろう」パパは、あたしが差し出した白くまを食べながら言った。「あたしさぁ・・・」

「ん?」

「お見合い、する」

「なんでまた」パパは驚いたふりをした。「だって、自助グループ行ってても余裕のある人いないよ」

「・・・」

「みんな、最近電車代だけで精いっぱいで、マックでお茶する余裕もないの」

「敦美はそんなこと心配しなくていい」

「だってさ」あたしは続けた。「小説のサークル代だけで月に2000円。半年に1度、講座代で1万5千円かかってる。もし、講座やめても地方会の会費がやっぱり半年に5千円だよ」

「だからさ」パパは繰り返した。「敦美は心配しなくていいんだ。パパがちゃんと遺言状書いてやるから」

「・・・書いてないんでしょ?」

「今はな」パパは伸びをした。「忙しいから。さて、ジャージャー麺食べたいなぁ」

あたしはきゅうりとねぎを切りながら、頭痛がずきずきした。肉だれをかけると、パパはかぶりつくように食べて、雨が来る前に帰って行った。

あたしは思った。

(パパのしてることは、にんじんを目の前にぶらさげて馬を走らせてるのと同じだ)

(遺産がにんじんで、敦美は馬だ)

(だけど、いつまで一生懸命走っても、きっと財産は手に入らない)

それにあたしは、疲れが出始めていた。

(もういやだ)

(もうパパのために頑張るのいやだ)

(ストライキ、しよう)

あたしは、自分のために生きることにした。

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