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にがくてあまい午後

一歩一歩

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本が、少しずつ売れ始めた。

あたしは、地方の短歌の先生とひとり知り合いになった。それから、もっと嬉しかったのは、就労支援所と繋がってるフリースクールの担当者から電話があった。(売り込んだのはあたしだけど)

「木村さんですか」

「はい」

「・・・斎木と申します。こちらでは、いじめにあったり引きこもったり、問題行動を起こしたりした子に対する、学校では出来ない支援をしています」

「ええ」

「木村さんの本、興味深かったです。できたら、今度支援所を訪問しますので、是非直接お話が聞きたい」

「了解しました」

やった。

今は無理かも知れないけど。

将来、ピアサポートの仕事をするのがあたしの夢なのだ。・・・あたしと同じような問題を抱えた子たちの力になりたい。「危険よ」ってチーフには止められたけど、実績を積み重ねていけばきっとできる。

それにはまず、自分が立ち直らなきゃならない。

あたしはふと爪を見た。(割れてるなぁ・・・)

思い切って、短く切りそろえると透明のマニキュアをした。それから、夏のタオルケットをうんしょと持ち上げて、ネットに入れて洗濯機で回した。(いい気分だ)

あれから、偉い人に結構献本してみたけど正直効果はゼロだった。「偉い人」は忙しいのだ。でも、自分の身の周りから一歩一歩積み重ねていけばいいことなのだ。それはきっと実を結ぶ。

今日は結構暑い。

あたしは、黒のスパッツとグレーのロンTを着て、洗濯の終わったタオルケットを干した。それから、冬の布団を出して青と薄い紫と黄緑のチェックのカバーをかけて、足元に丸めた。

その日、佐藤さんが来た。

「小説全部読んだわよ。面白かった」

「よかったぁ」

「敦美ちゃんさ、幸せって感じるときある?」

「ありますよ」

「例えば?」

「・・・こうやって本の感想を聞いたときとか」

「そう」佐藤さんは言った。「ささやかなことね。さて、ホットケーキとサラダスパを作ろうか」

あたしは、全粒粉のホットケーキのたねを卵と牛乳と混ぜながら、ちょっとショックでぼんやりしてた。(ささやかなこと・・・)

(本が、少しでも読んでもらえてうれしいって、ささやかなこと?)

(ふつう、幸せってどんなことなんだろう)

(・・・やっぱり、家族がいるとか、結婚するとか子供産むとかそういうことなのかな)

サラダスパはおいしかったけど、ちょっぴりすっぱかった。

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