にがくてあまい午後

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にがくてあまい午後

仲間

土曜日だった。

あたしは昼近く目が覚めた。・・・もう、自助グループには三週間近く参加していない。何でかわからない。

クリニックに行く日だ。もうぎりぎりだ。疲れてるけど、今日行かないと薬がすっからかんだ。

自転車をやっとの思いでのろのろこいで、待合室に到着した。

誰もいなかったので順番はすぐ来た。

「木村さん」

「はい」

あたしは診察室のドアをぱたんと閉めた。

「最近、調子はどう?」

「まあまあです」

「うーん」

「・・・前につきあった人とか、父や佐藤さんへの怒りがたまってきて困ってます」

「・・・」

「あたしもわるいんです」あたしは続けた。「自分を大事にしてくれる人とつきあえなかったからです。でも父は」

先生は矛先をかえて聞いてきた。「自助グループが負担になってることはない?」

「・・・」

「お薬はいつも通りね」

あたしは気が抜けて、薬局で薬を貰った。ふと、気がつくとスマホが鳴った。・・・こないだ、涼坂先生のトークショウで知り合いになった美紗ちゃんからだった。

「今日、あたしの誕生日に下北で即興演劇します。電話番号書いておきます」

どうしようかなぁ。

確かに、今つきあってる全員との関係に、疲れてきてるのは確かだ。オトコも父親も佐藤さんも自助グループも。

あたしは、ヨシカミのシチューをあっためて、簡単におしんこをいっぱい盛った。・・・あたしは、食べるのが早い。

食べ終わると、パパの留守電に電話した。「今日は遅くなります。夕食どっかで済ませてください」

電車に乗ると、かなり疲れてた。・・・不安もあった。正直、下北ってはじめてだ。

だけど。

地図を頼りに店につくと、ガラス張りの綺麗なギャラリーだった。つぎつぎと、小説サークルのおばさんたちの、ごてごてしたファッションとは違う、個性的なお洒落をした人たちが入ってくる。

即興劇は七時半にはじまった。

内容はごたまぜで、途中で飛び入りで詩の朗読があったり、アコースティックギターの演奏があったりした。あっという間に時間は過ぎた。

終わった後、色んなジャンルの人がそれぞれ名刺を交換したり、雑談をしたり、次の自分のライブの予定の話をしたりしてる。

「美紗さん」

「あ、木村さん」

「・・・すごく楽しかったです」

「外へ出ないとさ」普段はデパートの受付をしてる美紗さんは言った。「出会いってないでしょ?」

「はい」

「ここにはあたしの仲間がいるから」美紗さんは言った。「また来てね」

終電に乗ると、ため息が出た。・・・あたしは、目の下に薄い皺が出る年まで、ずっと時間を無駄にしてたって気がついた。あたしに必要なのは仲間だ。

叩けよさらば開かれん。

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