にがくてあまい午後

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にがくてあまい午後

夕刻

ある夕方。

あたしは郵便局と銀行で用事を済ませて、夕食の回鍋肉用に、豚のバラ肉とキャベツとねぎを買った。(ピーマンはまだ冷蔵庫にあるからいいや・・・)

マンションへの道を急いでいると、ふと見慣れない人影が挨拶した。「こんばんは」カーキの制服を脱いだ新城さんだった。

「こんばんは。・・・今ちょっと、お忙しいですか?」

「いえ」新城さんはちょっと迷惑そうだったけど、あたしは頓着せずに言った。「この先のコロラドでちょっとお茶飲みませんか?」

「いいですが」

あたしと新城さんは、もう赤い夕陽のひかる道を歩いて、さびれたコロラドに入った。

「わたしに何か御用ですか?」

「新城さん、賞取ったことありますか?」

「地方の賞を一回」新城さんはコーヒーに口をつけながらちょっとはにかんだ様子で言った。

「すごいですね。・・・どうしたら、賞って取れるんですか?」

「地方の賞は」新城さんは続けた。「大体、選考委員の方にどれだけ合わせられるかにかかってきます」

「はぁ」

「要するに、要領がいいかどうかです」

「・・・」

「つまらないことですよ。今の賞って、どれもどれだけ審査員の好みに合わせられるかです。後は・・・」

「あとは?」

「本当の実力です」

ぶ。

「木村さん、賞取りたいんですか?」

「はい」あたしは素直に答えた。「むつかしいでしょう」「そうですか・・・」「木村さん、ネットではかなりアクセス多いって聞きましたが」

「・・・そんなでもないです」

「例えば、出版社によってはネットの実績で評価してくれるところもありますよ」

「それって」あたしも紅茶を飲みながら言った。「ほんとに一日3000PVとかそういうブログですよね」

「わたくし、実はブログをやっていてメッセがパンクしたことがありますが」

「すごいじゃないですか!」

「いや」新城さんは頭をかいた。「女名でやっていたんです。そしたら、『結婚してください』ってたくさん」

はぁ。

「要するに、勘違いです」

「でも」あたしはつぶやいた。「それだけ巧みに女性の心理を書けたってことですよね」

「・・・」

「すごいじゃないですか」

「ネットも現実も同じですよ」新城さんはぼそっといった。「どれだけ人にサービス精神があるかです」

それきり、あたしと新城さんは黙って飲み物を飲み干した。「では」

「あ」

新城さんは几帳面にふたりぶん払った。・・・あたしは店の外で五百円玉を財布から出した。「自分の分は払います」

「女性とお茶して頂いて、貰う訳に行きません」

「そういえば」

「?」

「今度の小説会の旅行、行かれますか」

「日曜なので、出来るだけ行くつもりです。では」

それだけ言うと、新城さんは急ぎ足で駅に向かっていった。

(サービス精神か)

(ふぅ)

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