にがくてあまい午後

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にがくてあまい午後

自尊心

軽井沢旅行の日が、来た。

その日は日曜日で、あたしは五時起きした。・・・昆布とおかかのおにぎりを食べて、スティックサラダをかじった。洗濯物を急いで回して干すと、もう出る時間だった。

あたしは新幹線で行くんだと勘違いしてたけど、よく集合場所を確認すると、バス旅行だった。

まだ薄暗い道に、観光バスが停車している。小説会の人が次々と乗り込んでくる。・・・新城さんも、いた。

「おはようございます」

「おはようございます」

バスは出発した。行楽日和で、晴れていた。

軽井沢は、思ったよりずっと楽しいところだった。あたしは室生犀星のレターセットと、堀辰雄の一筆箋を記念館で買った。お昼は、追分の公民館で贅沢なカツの入ったお弁当だった。

お昼が終わると、追分の林の中で小説の朗読がはじまった。

あたしは、どきどきしながら自分で書いたショートショートを朗読した。緊張しててよくはわからなかったけど、結構拍手が大きかった気がした。

皆の朗読が終わって、バスに乗り込もうとすると会長さんが言った。「よかったよ」

あたしはびっくりした。新城さんもひとつ向こうの席で小さくうなずいた。「もっと書いて欲しいな。今度の、会集の短編もよかったよ」

あたしと会長さんは握手した。

(だんだん)

(認めてくれてくれる人がふえてきてる)

帰りのバスは、ものすごい渋滞だった。それでも、隣の席の会計の衣良さんと雑談しているうちにあっという間に終点についた。

おみやげのりんごをよっこらしょと持って、電車に揺られながらあたしは嬉しかった。(あたしみたいな子でも、存在を認めてくれる人がいるんだなぁ)

帰ると、パパから留守電が入ってた。折り返しの電話をかけた。

「まだ起きてる」

「もうねるとこ」パパは少し眠そうに言った。

「バスが渋滞して遅くなったの。・・・よかったよ、追分」

「そうかそうか。早く寝なさい」

「じゃね」

あたしはベッドに寝っ転がったけど、なんだか眠れなかった。自尊心がちゃんとついてくるのはいいことだ。

サイドテーブルには、おみやげのアーモンドリーフと、堀辰雄の洒落た椅子の絵のついた一筆箋が投げ出してあった。知らず知らず、あたしは笑顔で眠り込んでいた。

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