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にがくてあまい午後

尊敬と同情

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その晩、フェイスブックを開いてると、さーちゃんからメッセージが来ていた。

「明日、大戸屋で会いませんか。ジャムを沢山作ったのでおすそわけします」

さーちゃんは、中学時代の同窓生だ。・・・いつも、いじめられっこをかばってる男気の強い子だった。

あたしはちょっとためらって返事した。「明後日なら空いてます」「じゃ、明後日の午前十一時半に」

実は誰にも言ってないけど、明日は銀座にお見合い写真を撮りに行くのだ。・・・我ながら気合が入ってる。

あたしは早めに、オートーミール色のスエットでベッドに入った。

次の朝。

髪は、まだ白髪が一本だけ目立つ程度だからOKだ。自分の持ってる服の中で一番コンサバで可愛いのを選んで、あたしは電車に乗った。

銀座には思ったより早く着いた。三年ぶりくらいだろうか。だけど、なんとなくびっくりしたのは思ったより可愛い子やお洒落な人が減ってたことだ。

(みんな渋谷とかに行っちゃったのかなぁ)

フォトスタジオはデパートの五階にあった。

「いらっしゃいませ」派手な感じのお姉さんが挨拶した。

「こんにちわ」あたしは小さな声で返事した。「随分お若い方ね」お姉さんはにっこりした。

「そうですか?」

「そうよぉ」お姉さんは、さっさと書類に記入を済ますと、メイクとヘアブローを始めた。三十分すると、似ても似つかぬ自分が鏡の中にいた。

「つけまつげつらくない?」

「いえ、別に・・・」

「よかったぁ」お姉さんは胸をなでおろしたように言った。「私はすぐ、かきむしりたくなっちゃう時があるのよ」あたしはくすっと笑った。お姉さんも笑った。

「ポーズ行きます」カメラマンの人が声をかけた。あたしは椅子に座った。「もうちょっと背伸ばして。顔こっちにひねって。・・・あご上げて。うんいいよ」

すぐに写真が十二枚撮れた。パソコンで、お姉さんと一番のを選んだ。「このネックレスが利いてるわよ。二枚目なんか可愛いんじゃない?」

「じゃ、それにします」

店を出ると、我ながら背筋が伸びてるのがわかった。

(お世辞でも褒められるっていいことだ)

(くさされてばっかりいると、どうしても鬱になる)

次の日。

さーちゃんは五分くらい遅れて来た。さーちゃんは学生時代から、男っぽくてかっこいいところは変わってなかったけど、少し白髪が目立って来てた。

「これ、りんごのジャムね」

「・・・これ昨日、銀座で買ってきたパイ」

さーちゃんは「ふん」という感じでパイをエコバッグにしまった。・・・それから、世間話をしてる内に気がついたのは、要するにさーちゃんは自慢話がしたいんだと言うことだった。

あたしは二十分くらい、おとなしく聞いてたけどだんだん眠くなってきた。ふっと目をあげるとさーちゃんは言った。「ねぇ、聞いてる」

「聞いてる」

「あたし今度、市内の店に手作りのポーチとか出すの」

「ふうん」

「よかったら来て」さーちゃんは、小奇麗な感じの店の名刺を渡すと、急いで時計を見た。「いけない、子どものバレエの練習の時間なの」

「じゃあね」

「またね」

次の日あたしは、その店に義理堅くも行った。かわいいポプリの袋とかと一緒にポーチがボックスに展示してあった。

よくできてた。

多分、支援所であたしたちが作ってるのより。

だけどあたしは、もうさーちゃんがそんなには好きでなくなったことに気がついていた。あたしは黙って店を後にした。

(人間って、かばわれたり同情されたいわけじゃない)

(尊敬されたいんだ)

(誰だって・・・)

むつかしいな、と思って自転車に乗り込んだ。北風は、もう、びゅうびゅう吹いていた。

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