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にがくてあまい午後

整理

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次の日、パパはめずらしく少しふらつきながらマンションに来た。

「パパ」

「やあ」

「どうしたの?」

「税理士さんとこ行ってきた」

「パパ」

「叱られちゃったよ」パパは中綿のキルケットを脱ぎながら言った。「いい加減、遺言状書かないと、急にぽっくりいった時、親族で醜い争いがおきますからってな」

「パパぁ」あたしは泣き声を出した。「まあまあ、今ぽっくりとはいかん。しかし、敦美の不安な気持ちはよくわかるからな」

「ありがとう・・・」

「いいんだよ」パパは繰り返した。「年明けには、敦美も立ち会ってその税理士さんに会おう、な」

その晩あたしはぼんやり考えていた。

(まだどうなるかはわかんない)

(でも)

(しばらくは、これで大丈夫暮らせるんだ)

本当は。

あたしにはわかっていた。

あたしに一人の男の人を支えていくのも無理なら、パパに変わるようなパトロンがあたしを支えていってくれるのも相当無理だってことが。

(いいじゃん)

(今、ううん今日できることしか出来ない)

(檜山さんの嫁さんになるのはあたしには無理だ)

でも、お付き合いするのは悪いことじゃない。・・・もちろん、檜山さんの意志あってのことだけど。

(いいじゃん)

(世間にどう言われたって)

あたしは本当の本当は一人でいたいのだ。たぶん。

でも、檜山さんといるとほっとする。・・・自分の世界や自信が広がる気がする。

檜山さんとドライブしたり、食べ歩きをしたり、まだ知らなかったいろんなことをあたしはしたい。

けどもアトリエ零にはやっぱり年が明けたら行ってみたいのだ。

(これはあたしの勝手だ)

(人にどう見られたって言われたって、気にしないことにしよう)

(あたしは今、同居結婚はしない)

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