にがくてあまい午後

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にがくてあまい午後

食事

あたしは、その夜檜山さんと二度目の食事をしていた。

「ここ、お寿司おいしいの」

檜山さんは、慣れた様子で駅ビルのお寿司屋さんののれんをくぐった。昨日の、小説サークルの例会の後のお茶会の、皆のせりふが思い出された。

「六十二で独身貴族?」

「それ、やめたほうがいいわよ敦美ちゃん」心配そうに田万川さんが言った。宝珠さんもうなずいた。「たぶん、出会い系の代わりに見合い相談所使ってるのよ」

「・・・理想が高い人みたいで」

「でしょう?お食事だけ、高いの食べさせて貰って、適当なところで逃げ出していらっしゃい」

「・・・」

「敦美ちゃん、意外と天然なとこあるから心配」

「本当は」あたしは言った。「男の人と、お付き合い長続きしたことないから、ずっと付き合える人いればいいなって、そのくらいの気持ちで」

「遊ばれちゃだめよぉ」宝珠さんははっきり言った。「まぁ確かに、付き合いが続くのはだいじだけれどもね」

「あたし、せいぜい三か月で」

「三か月?」宝珠さんがびっくりして言った。「はい」

「あたし、今の主人とは、毎日毎日会ってて、一年して結婚したけれども、『こんなところあったのか』ってびっくりすることばっかりだったわ」

「頑張ってよ敦美ちゃん」垣沼さんがめずらしく強い語調で言った。「だけど、気をつけて」

目の前の檜山さんは、そういう会話とは無縁の感じで、神経質な表情でのんきな口調だった。・・・あたしは気になってたずねた。

「どうかなさったんですか?」

「実は明日、大腸ポリープの検査なんだ。だからお寿司僕の分まで食べてよ、敦美ちゃん」

「だいじょぶなんですか?」

「はは、だからもし異常があるといけないから、PCもパジャマも持って病院へ行くの」

「・・・」

「敦美ちゃんはまともだなぁ」

「そんなことないです」

「僕のとこに来る申し込み、変わった人ばっかりだよ。シングルマザーで無職で、男の子と暮らしてるとか」

「えっと・・・息子さんとその収入で暮らしてる」

「そう。それとか、旦那と別れて今六十八の人とか」

「・・・」

「いろいろ難しいよ」

「あたしが一番難しいのかも知れないです」あたしは小声で言った。「家事も完璧にはできないと思うし」

「それはみんなおんなじだよ」檜山さんは天ぷらを食べながら言った。「敦美ちゃん」

「?」

「病気のこと、言わない方がいいよ」

「ええ・・・」

それから、店を移って、檜山さんは熱いコーヒーをあたしは熱いカフェラテを飲んだ。ラテはハートマークが綺麗にミルクでデコレーションしてあった。

「今度、カラオケ行かない?」

「・・・ちょっと苦手で」

「じゃ、少し飲もうか」

「いいですね」

駅の改札口へ向かってゆく檜山さんは、そんなに悪い人にもいい人にも見えなかった。親友のきっこの口ぐせがふと耳にこだました。

(男なんてみんなおんなじ)

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