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にがくてあまい午後

イヴの夜

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その夜、あたしは一通のメールを受け取った。

「秩父と申します。コンタクトパークでお見かけしました。年内は、仕事で忙しくてお会いできませんが、よかったらお電話してください」

携帯の電話番号が、そのあとに続いていた。コンタクトパークと言うのは、経歴や家族状況の書かれた紹介状を通してではなく、自分の書いた紹介文と写真だけでやり取りをするところだ。

あたしは、ちょっとためらってから電話した。(まだ八時台だからいいだろう)

「はじめまして。木村敦美と申します」

「はじめまして。秩父昭朗と申します」

秩父さんのアクセントには、関西なまりがあった。「こんばんは」

「こんばんは。僕、郵便局に勤めてるもんで、年内は忙しいんです」

「そうですか・・・」

「木村さん、子ども好きですか?」秩父さんはいきなり聞いてきた。「あんまり。苦手です」

「そっかぁ」

「・・・わたし、体弱いし」

「そういうこととちゃうでしょう。可愛いもんは可愛い。可愛くないもんは可愛くない」

「・・・」

「違いますか?」

「あたしあんまり可愛い子でないので」

「僕は、ありのままが好きです」秩父さんははっきり言った。「子どもはありのままですから可愛い」

「・・・」

「どうか、しましたか?」

「可愛くない子供もいるかも知れない」あたしはつぶやくように言った。「木村さんの写真、可愛かったですよ」

「そうですか」

「そうですよ」

「あたしいい子でないので」

「いい子でなくてもかましまへん」秩父さんは小学校の体育の先生みたいに言った。「どうか、しましたか?」

あたしはいつの間にか泣いていた。「こりゃ、悪いこと言ったかな」

「いいえ」

「木村さん、無理してはるでしょう」

「はい」

秩父さんの声は穏やかだった。「紹介文見て、肩の力つっぱらかっとるなぁと思った」

「はい・・・」

「女は守られてればいい」

「・・・」

「どんな子でもええ。男を信頼してくれれば守るもんです。お互い様です」

「秩父さん」あたしは無理やり話題を変えた。「お子さんいらっしゃいます?」「います」秩父さんはあっさり答えた。「それじゃ無理です・・・」

「どうして?」

「あたし、子どもを世話する体力なくて」

「病気がちなんや」

「そうです」

「そりゃあかんなぁ」秩父さんは言った。「僕にのめりこまれたらそれでは困る」

「・・・」

「でも」秩父さんは続けた。「僕が何かのきっかけになれるといいですね」

あたしは何だかひさしぶりに大声で泣いていた。「ありゃ」「いいんです」「・・・」

「ありがとう」

「何にもできへんけど」秩父さんは電話の向こうで言った。

「いいえ」

「?」

「いい、クリスマスイブになりました」

あたしは電話を切った。窓の外を見ると、少しだけだけどめずらしく星がきらめいて見えた。

(いい子でないと)

(愛されないって思ってたのは)

(自分ひとりだったのかも知れない)

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