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にがくてあまい午後

クリスマス

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二十四日、月曜日。

今年は、連休とはずれてしまって、本当はもう街はイブではない感じだった。・・・あたしは志岐さんに連絡を取って一緒に食事をしていた。

「ここのスパゲッティ、独特のこしがありますね」

志岐さんは、そう言って仕事の話を懸命にした。デザートは、ラズベリーのパンナコッタとバニラアイスだった。

「これからまた仕事なんです」

「これから?」

「年末が一番商品が動き出す時期なので。連休は山梨に行ってました。富士山が綺麗でしたよ」

「もう雪積もってましたか?」

「積もってます積もってます」

それから、志岐さんの仕事とあたしの趣味はちょっとかぶっているので話がはずんだ。ワインを断ったので、志岐さんは名残惜しそうに言った。「じゃ、スタバでも行きますか」

スタバで普通のブレンドを二つ頼んだ。志岐さんはトレーをわざわざ持ってくれた。

「今さっき、見た雑貨屋ですが」

「?」

「僕が仕事してるとこと提携しているところです」

「私もあそこ好きです」

「今度ね、年末に丸ビルでクラフト展ありますよ」

「ほんとですか?」

「生活雑貨を揃えるのにいいかも知れません。それに見てて楽しい」

志岐さんは、店や人の悪口を言わない人だった。

食事とお茶代のお礼を言って、遠ざかる志岐さんの後姿を見てあたしは思った。

(仕事熱心なのはいいことだ)

(真面目なのもいいことなんだ)

(志岐さんは、親思いなのかも知れない)

その晩、あたしはパパにそう言った。「真面目でいいひとだよ」パパは言った。「まぁお友達としてお付き合いしなさい」

「・・・」

「志岐さんが抱えているものは大きいからな」

それはそうだ。

その晩、ひさしぶりに澄んだ気持ちであたしは寝た。

次の日。

久しぶりに支援所へ行ったけど、もう店は閉まっていた。

「随分久しぶりじゃない、敦美ちゃん」

「ご無沙汰してます」

「綺麗になったんじゃない?少しやせたし」

「そうですか?」

「年越しうどん、食べていきなさいよ。ケーキもあるわよ」

あたしは、天ぷらのはいっていない年越しうどんを食べた。ケーキは、めずらしく生クリームがかかっていた。だけどもう、見知った顔はほとんどなかった。

「就労した人、どんどん増えてるみたいですね」

「そうよぉ」チーフは自慢げに言った。「あたし」「?」「今度関東文庫から童話だします」

「そう・・・」

うどん代の代わりに、皆のお皿を洗っていると元木さんが言った。「今日はクリスマスだから職員がやるわ。今日は相手するの無理だから」

「・・・」

「邪魔だからね、帰ってね」

邪魔、かぁ。

あたしは就労支援所の門を出た。少し離れてまた振り返った。誰もいない街路は寒かった。

(もう、居場所ここにはなくなったな)

(ばいばい支援所)

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