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にがくてあまい午後

大晦日

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三十一日。

大槻さんは、昼ちょっと過ぎに来た。あたしは目を覚まして洗濯をしていた。「どう?調子」「まあまあ」

「よかったわ」

そういうと、大槻さんは手早く掃除を始めた。あたしは花を活けて、おせちをお重に詰めた。

「錦卵ないと思ったから、買ってきたわ」

「ありがとう」あたしも袋をごそごそ出して言った。「これ、セーターです。プレゼント」

「いいのに・・・」

「いいんです」

「そお」大槻さんは、桜色のセーターを袋から出して見ると、しまって、天ぷらそばのつゆと、お雑煮の下ごしらえをしてくれた。

「ありがとう」

「ありがとう。・・・お正月はもう洗濯とか掃除ダメよ。『怠け者の節句働き』って言うからね」

・・・大槻さんは、おせっかいなところもあるけどいい人なのだ。普段のヘルパーさんは、世話してはくれるけれども注意はあんまりしてくれないから。

その晩、パパは天ぷらそばがおいしいとご機嫌だった。紅白を見て、満足そうに自分のマンションに帰って行った。

あたしは、ちょっと手持ちぶたさになってPCを開いた。と、思いがけず再び、白須さんからスカイプメールが来ていた。「こんばんは」

「こんばんは」あたしはちょっと躊躇って返した。「はは」

「・・・もう、どっかで他の人見つけたとばっかし思ってました」

「正直に言うね」

「・・・」

「僕は木村さんが好きだから」

「どうして、会ったこともないのにわかるんですか?」

「ここで、表情とか一度よく見たからね」

「・・・」

「僕は、外見で人を選びません。にじみ出る性格で選ぶ」白須さんははっきり言った。「それって・・・」「ん?」「ひどいなぁ」

「どうして?」

「美人じゃないって、正直に言われた気がします」

「お互いさまじゃない、正直なのは」今度はあたしが黙った。「はは、ごめん」

「・・・白須さんカッコいいとは思います」

「僕のどこが?」驚いたように白須さんは返した。「もてそうだし」あたしは言った。

「もてないよ」白須さんは言った。「だから、今ひとり」

「あはは」

「やっと笑ってくれたね」「ええ」「よかった、木村さんはいい子だ」

「・・・」

「どうかした?」

「いえ」

あたしは突然スカイプを切った。やさしい調子でメールは返ってきた。「どうしたの?」

「・・・嬉しかったから」

「嬉しいと、切るの?」

「びっくりして」

「そっか」白須さんは言った。「よいお年を。また今夜話しましょう」

その晩、あたしは大槻さんに言われたように、お風呂に入ると新しい下着に着替えて寝た。・・・なんだかいつまでもいつまでも寝付かれなかった。

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