にがくてあまい午後

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にがくてあまい午後

母親

だけどその夜頭痛は止まらなかった。・・・あたしは、お風呂にも入らず着替えもせず突っ伏して寝た。

(白須さん)

(白須さん)

次の日。

心配したパパが、電話してきた。「やあ」「・・・」「疲れてるのか」

「うん」

「大槻さんがな」パパは言った。「私のところの掃除が終わったらそっちに回ると言ってる」

「ありがとう」

昨日の服のままで、布団にぐるぐるにくるまっていると大槻さんが、来た。大槻さんは、酢豚とかぼちゃの煮たのを作ってくれた。

「それはだめよ」

「・・・」

「お金むしりとるような人はだめ」

「優しいんだもん」

「ほんとに優しいんだかどうだか」大槻さんはため息をついた。「今にこのマンションまで全部持ってかれるわよ」

「・・・」

「わるいこと言わないから、やめなさい」

「みんなあたしのこと気持ち悪がってる」

「そんなことないわよ」

「白須さんは気持ち悪がらない」

「・・・」

「だから」

「要するに、お見合いうまく行ってないんでしょう?」今度はあたしが黙った。「だからその人にはまっちゃったんでしょう?」

「・・・」

「部屋の掃除してたら、カラーボックスがもうがたがただったわ」

「うん」

「月曜日に、ニトリに取り換えに行きましょ。気分転換に、ね」

大槻さんは、帰り際に玄関の百合を見て言った。「嬉しいわ」「どうして?」「実家にいたころ、何の花生けても敦美ちゃん無関心だったでしょう」

「・・・」

「女の子は、花を飾るのが大事よ。じゃ、ね」大槻さんは、ダウンコートを着ると出て行った。あたしはぼんやり大輪の百合を見つめていた。

(この百合)

(花屋から、持って帰ってくるの重かった)

(白須さんが来るかも、って思って買った百合)

白須さん。

あたしはぐるぐるする頭で、携帯のスカイプ電話をプッシュしていた。「やあ」あたしの気持ちの上を、バイオリンの弦のように気持ちよくこすってゆく白須さんの声が聞こえた。

「もう、会えません」

「お父さんの様態わるいの?」

「・・・」

「どうしたの。具合悪いの」

「はい」

「・・・」

「・・・」

「僕のこと怖くなったの」白須さんは少しふるえるような声で言った。「・・・」

「もう怖がられるのは沢山だ」

あたしは泣いていた。白須さんの気持ちが痛いほどにわかったからだ。「あたし」「?」「あたしも気味悪がられてます」

「だいじょうぶだよ」

「・・・」

「大丈夫」白須さんは繰り返した。あたしは携帯を抱きしめて大声で泣いた。夜が更けて来ていた。

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