にがくてあまい午後

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にがくてあまい午後

願望

次の日も。

その次の日も、白須さんから連絡はなかった。あたしは切ないくらいさみしかった。

勘のいい白須さんは、あるいはあたしの疑う気持ちを見抜いたのかも知れない。

あたしは、とうとうやりきれなくなってアップルパンを焼いた。りんごを十二等分して、フライパンでバターと砂糖と炒めてキャラメリゼして、ホットケーキミックスと牛乳と卵を混ぜて、出来上がったりんごを並べた上に流し込んだ。

レンジで簡単にチンした割にはスポンジはよく焼けていた。りんごも飴色でおいしそうだった。

だけど、結局考えるのは白須さんのことばかりだった。

(さみしいよ)

(ほっとできる場所がなくなっちゃった・・・)

(このパンケーキ、白須さんと二人で食べたいのに)

白須さんも言ってた。「僕もひとりで生きていくの無理そうだ」と。

人間は。

誰でもパートナーを求めている。生きるのは苦しいことだから、側で慰めたり励ましたりしてくれる人を求めてる。

それが。

あたしの場合、たまたま皆が「危ない」という白須さんしか、今いないのだ。

あたしは思い切ってスマホをプッシュした。「こんばんは・・・」

「やぁ」

「・・・ごめんなさい、仕事中に」

「いいんだよ。だけど今打ち合わせ中で遅くなるから、今夜は先に寝て」

その晩。

あたしはへんな夢を見た。夢と言うより自分の願望だ。

白須さんがゴムもなにもなしであたしを抱いている。・・・白須さんの精子があたしの卵子に着床したような感触が、ふっとしたところで目が覚めた。

あたしは起き上がってスマホでスカイプをした。「いますか?」

「やあ。今終わったとこだ。目、覚めちゃったの?」

「はい」

「どうしたの」

「あたし」あたしは小声で言った。「白須さんの子ども多分欲しいんです」

「うん」

「でも・・・」

「責任があるからね、それには」

「ええ、でもそう思っちゃうんです」

「孕ませて欲しいって意味?」あたしは真っ赤になって答えた。「はい」「嬉しいよ」

「白須さん好きだから」

「ありがとう」

「いちいち、ありがとうって言わないでください」

「はは、これは癖みたいなもの」

「・・・」

「よく眠りなさい」

あたしは夢のない、満たされた眠りに深く深くおちこんでいった。

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