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にがくてあまい午後

成功

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朗読会の日が、来た。

あたしは、見合い用に買った一番上等なカシミヤの茶のワンピースを着て、白と黒のコットンパールを身に着けた。・・・それから、ママのところへ久しぶりに行くと言うパパが、わざわざマンションの玄関まで車を回してくれた。

「ゆっくり読みなさい」

「うん」

「ゆっくり、な。お前は早口だから」

車は、駅前で止まった。あたしは、列車に乗り込んでごとんごとん揺られる頭で思った。

(失敗できない)

(でも、失敗してもいいくらいの気持ちじゃなきゃいけない)

会場は、思っていたよりずっと立派なホールでほぼ満席だった。

三垣先生が、落ち着かない様子で講演を始めた。・・・まだ第一部だ。

あっという間に、でもそれは終わって第二部になった。

「これから、会員さんによる自作作品の朗読を始めます」

あたしは、宝珠さんと田万川さんと、垣沼さんと壇上に上がった。・・・三人目があたしの番だ。

「木村敦美と申します。昨年書いた、ちょっとコミカルなショートショートを読ませていただきます」

あたしは努めてゆっくりはっきり読んだ。会場には、時々笑い声がどっとあがった。

(やった)

その後の懇親会で。

「三垣先生」

「ん?」

「今度、童話を出すんです。・・・小さいところからですけど」

「それで?」

「帯文、お願いできないでしょうか」

「いいですよ」三垣先生はあっさり言った。「君に短い話は向いているみたいだ」

懇親会のメニューは、ねぎがメインだった。あたしはたらふく、ねぎの天ぷらとフライと鍋と、ネギまをかっ込んだ。

その夜。

疲れた頭でそれでも思ったことだった。

(パパがいるから)

(こうやって、小説が書いていられる)

(・・・いろいろ、不満はあるけれども)

白須さん。

あたしを癒やしてくれる、魅力的な、人ではある。

でも。

あたしはふっと思い立って、垣沼さんに電話してた。「もしもし。夜分申し訳ありません」

「敦美ちゃん。今日は疲れたでしょ」

「はい」

「大成功だったじゃないの」

「垣沼さん」

「ん?」

「あたしね・・・身もふたもないけど、お金貸してる人がいます」

「それはよくないわね」

「ええ」

「・・・お金って、人間関係の基本だと思うんです」

「その通りね」垣沼さんは、言葉を選びながら言った。「その人とは、『金の切れ目が縁の切れ目』になると思うわよ」

「別れます」

「よかった。・・・じゃ、ね」

電話は切れた。

白須さんを捨てることをあたしは決意した。

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