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籠の鳥ーJAILBIRD-

第三十一章

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15分が、経った。

亜美は、もう待ち切れなかった。デイケアの扉を、思い切ってバンと開けた。・・・そこでは、亜美の父親と木崎が、論点の要旨に入っているところだった。

「お嬢さんは、アスペルガー症候群だと思います」

「勝手に、訳の分からん病名を増やすな」

「・・・ですから、ここではきちんとした診察は受けられないんです。ここにメモした、相談機関で、専門医にかかって下さい」

「職務逸脱だ」亜美の父親は、声を荒げた。「君は、医者なのか?」

「・・・」

「お父さん・・・。もう、やめて」亜美は、割り込んだ。木崎は、冷然としていた。

「もう、帰りましょう」

「そう、しよう。・・・しかし、その前に先生に一言言っておく、このことをな」

「やめてよぉ」

「頭痛がするんだろう・・・。この、男のせいだ。この男の」

亜美は、2Fに駆け下りて、他の患者も構わず、診察室のドアを叩いた。

「先生」

どくとるマンボウは、顔色も変えずに出て来て言った。「あと5分待って下さい」

5分、経った。亜美は、診察室のドアをぶち破る勢いで開けた。亜美の父親が、後ろに続いた。

「どうしたんですか」

「木崎さんが・・・。私は、アスペルガーだと・・・」

「あの男は、ペテン師だ」亜美の父親は、吐き捨てるように言った。

「そりゃあ、頭痛もするだろう」どくとるは、憐れむように亜美を見た。

「もう、お帰りなさい。3月末で、デイケアは閉鎖です。・・・」

亜美は、父親に付き添われてタクシーに乗った。・・・頭は、破裂しそうにガンガンしていた。



4月に、なった。

木崎は、クリニックから姿を消した。

亜美は、ただ部屋で、呆然としていた。作業所のリストを、結局貰い損ねたことにも気づいていなかった。

(また、行くところがなくなった)

桂さんは、そんな亜美の気持ちをよく見ていた。「亜美さん、映画見ないの・・・?」

「え?」

「面白いの、沢山あるわよ」

その春から夏は、桂さんとの映画通いで暮れた。・・・亜美は、スクリーンで見る、少女達に息をのんだ。特に、気に入ったのは、自閉症の少女と、聾唖の青年の映画だった。自分の姿を、初めて自分で見たような気がした。

映画の帰りには、いつも桂さんと二人で、アイスクリームを食べた。抹茶とピーカンナッツのアイスクリームは、ほんのり苦かった。

「作業所、か・・・」

高校の、同じ病に倒れた友達が、作業所に通っていると聞いたのは、その年の夏の終わりだった。
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