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籠の鳥ーJAILBIRD-

第三十四章

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「ふぅむ」亜美の話を、面談室で一通り聞いた芳子さんは、言った。「色んなことがあったのねぇ」

「はい・・・」

「あなたの問題点は」

「はい」

「第1に、お母さんにあなたへの嫉妬があること。第2に、お父さんと意思の疎通がないこと。第3に、男性関係・・・。すぐに、親切にしてくれる人に依存感情を持つ。そんな感じかな」

「その、通りです」

「そうね」

(この人は、頭がいい・・・。これまでの、カウンセラーはみな、私に手玉に取られていたのだ)

「亜美さん」

「はい」

「今の貴女が、どんな男性と付き合っても、うまく行かないと思うわ。・・・自助グループは、暫く控えた方がいいと思う。あそこは、問題のある人間の、ふきだまりだから」

「でも・・・」

「働くことを覚えるのが、第一よ」

「・・・」

「それに」芳子さんは、続けた。「自助グループと言うのは、本名は明かさないのでしょう?」

「ええ・・・」

「大変、危険よ。大ヶ丘先生の方針も、分かるけどね。・・・貴女は、まず挨拶や人間関係に慣れることの方が、大事だと思うわ」

亜美は、初めて沈黙して考えた。(そうかも、知れない)

「とにかくね」芳子さんは、続けた。「今は、お菓子作りの手が足りないの。・・・それに、貴女のアイスコーヒーの味、わたし気に入ったわ」

西日の差す、帰り道、杉江さんは言った。「どうします・・・?」

「行きます・・・行きたいです、ヴィーボ」

「まぁ、ゆっくり考えて答えを出して下さい」

亜美は、部屋に戻るとベッドに寝転がった。・・・何となく、今までより落ち着かない感じがした。

(理解してくれる人がいる空間と言うのは、落ち着くものなのだ)

(ここは、落ち着かない)

(まるで、鳥籠・・・座敷牢のようだ)

桂さんの、暖かい声がした。「ご飯よ」

しかし、それに続いて父親の不機嫌な声もした。「夕飯だ、亜美」

亜美は、電話の子機を取って言った。「今、食べたくないわ。・・・後で、食べる」

「仕方ないわね。今日はとんかつなのに」桂さんの残念そうな声がした。

(あの父と、ご飯を食べたくない・・・食べたくない)

「桂さん」

「ん?」

「明日から、料理の、特訓して。お願い。・・・わたし、何とかヴィーボへ行きたいの」

「分かったよ。亜美さん。・・・まず、お味噌汁から教えてあげる」

それは、亜美が初めて自分の意思を持った時だった。
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