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籠の鳥ーJAILBIRD-

第三十八章

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次の日、亜美は熱を出した。

頭が痛い代わりに、体がぼおっとして咳が出る。2Fにわざわざ上がって来た桂さんは、言った。「インフルエンザかもよ。・・・すこし、頑張り過ぎたからね。内科に行って、寝てなさい」

ふとんにもぐっていると、携帯が鳴った。

「瑛一です。元気?12日、会えるかな」

亜美は、ごほごほ言いながらキーを打った。「元気じゃないわ・・・。風邪なの」

「そりゃよくないや。お大事に」

「待って」

「え?」

「会いたくない訳じゃないの・・・。月末、空いてる?」

瑛一は、ちょっと躊躇って言った。「25日なら」

亜美は、勝負に出た。「25日、用事があるの・・・。24日、だめ?」

「いいよ。午後なら。咳、治してね。また、H駅で会おう」メールは、あっさり切れた。


12月24日。

亜美は、白いボンボンのついたニットに、黒いスキニージーンズを着て、H駅で凍えていた。

「やぁ」瑛一は、臙脂色のライダースジャケットで現われた。「似合うね、そのボンボン」

「ありがとう・・・。そのジャケット、素敵」亜美も応えた。

「うん」瑛一は、年相応の笑顔を見せた。「映画でも、見る?」

「ええ」

二人は、駅ビルの6Fに昇った。「何が、いい?」

「ディズニー、きらい?」

「きらい」瑛一は、はっきり答えた。

「じゃ・・・。アクションものは?」亜美は、やけになって出鱈目に「Kー28」のポスターを指し
た。

「いいね。・・・でも、まだ時間ある。食事、しよう」二人は、傍のレストランに入った。瑛一は、メニューを手なれた手つきで指した。「何でも、いいよ」

「ありがとう・・・」亜美は、ノルディックサーモンサンドと、メープルシフォンケーキを注文した。

「俺、ハンバーグと、ティラミス」

「かしこまりました」店員は、にっこりした。瑛一は、ソファに腰を据えて言った。「H市って、穴場だな。この店のスペースの使い方、半端じゃない」

「そお?」

「うん。・・・どうか、した?」

「何でも・・・」

「ちょっと、そのボンボン、さわらせて」瑛一は、白いボンボンを奇麗な指でもてあそんだ。「ふわふわ、してる」亜美は、落ち着かなくなって来た。メニューが運ばれてきた。

「どうぞ」

亜美は、あまり食べられなかった。瑛一は、よく食べた。

「出ようか・・・」

「うん」

Kー28は、混んでいた。映画館の暗闇で、亜美が必死に、科白を追っていると、ふと瑛一は、亜美の手を握って来た。最初弱く、だんだん強く。まるで、抱きしめるかのように。

・・・亜美は、体の中心部がだんだん熱くなり、次に湿ってくるのが分かった。・・・必死にこらえていると、瑛一はふと席を立った。「俺、気分悪い」

瑛一は、暗い通路で、また座り込んだ。亜美は、気の毒になって言った。「どこかで、横になって休もうか?」

瑛一は、頷くと外へ出た。「タクシー、呼ぼう」

「うん・・・」亜美も、頷いた。ビルの外は、暗くなりかけていた。
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