にがくてあまい午後

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籠の鳥ーJAILBIRD-

第四十四章


しかし。

亜美の危惧にも関わらず、瑛一のインフルエンザの間、二人は天国の気分を味わった。

瑛一は、家族の写真と、それから昔雑誌に投稿したと言う詩を、わざわざ写メで送って来た。いくつもいくつも。・・・添えられた写真には、今とは正反対の、穏やかな青年が写っていた。

亜美は、送るものがないので、僅かに幼少時の写真を送った。「可愛いな」瑛一は言った。

「俺さ・・・」

「え?」

「お前と暮らしたいよ・・・。でも、あと1年は貯金しないと無理だ」

「そんなこと、しなくても」

「どうする?他に」

亜美は、禁忌を破って言った。「私、貯金があるの・・・500万」

瑛一は呻いた。「どこに、そんな金があるよ・・・。それに、俺は美味い話には乗らない主義だ」

「別に」亜美は慌てて言った。「あやしいお金じゃないわ。・・・年金をこつこつ積み立てていたのよ。私、2級貰ってるから。・・・今は、父の名義になっているけれど」

瑛一は、考え考え言った。「それは、君のお金だよ、亜美。・・・君は十分苦労した。だけど、俺の金じゃない」

亜美は必死に言った。「瑛一が、苦労しないで済むなら・・・。それに、瑛一だって十分頑張ったわ、この1ヶ月、私のために」

「くそ」瑛一は言った。「俺の人生、どう転がるか分かんねぇな。亜美、明日、会えるか?・・・ちゃんと、話し合おう」

「うん」亜美は言った。

瑛一も言った。「現金もキャッシュカードも、クレジットカードも何もかも駅のロッカーにぶち込んで来るよ。でないと、ホテルへ直行だからな」

1月22日。

朝、スポーツブラを身につけようとしていると、瑛一からメールがあった。

「電車に乗り遅れた。君との約束は守る 瑛一」

亜美はメールした。「車で来るの?」

「ああ」瑛一は答えた。「O駅の前で、待っていてくれ」

「あそこ、分かりづらいわよ?」亜美は、不安になって言った。

「どこにいたって、拾ってやるさ」瑛一の声は、ぎらぎらしていた。「待ってろ亜美」

亜美は、例の白と薄いピンクの下着に着替え直すと、グレーと黒のオフタートルのワンピースを着て、髪を整えた。・・・雪が、かすかに降り始めていた。
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