スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←なわとび →第四十七章
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png Morning Glory
もくじ  3kaku_s_L.png Black short short
もくじ  3kaku_s_L.png DOWN BEAT
もくじ  3kaku_s_L.png 刻印-sin-
もくじ  3kaku_s_L.png あとがき
もくじ  3kaku_s_L.png 現実の林檎
もくじ  3kaku_s_L.png 短編いくつか
もくじ  3kaku_s_L.png その後の短編
【なわとび】へ  【第四十七章】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

籠の鳥ーJAILBIRD-

最終章

 ←なわとび →第四十七章

1月25日。

桂さんは、元通りの笑顔を台所で見せていた。亜美は、朝食の味噌汁だけ作ると、部屋に戻って、桂さんのお土産の白いタートルネックのセーターと、グレーのGパンで、正座して瑛一からの、電話を待った。

9時ちょうどに、電話はあった。

「亜美」

「瑛一」

「もう、君とは付き合えない」瑛一は、きっぱり言った。「君のような不安定な女に、俺の人生は任せられない」

「・・・・」

「いろいろ、感謝している」

「待ってよ」亜美は自分が泣いているのが分かった。「そっちだって、泣きながら電話してきた癖に」

「それは、お互い様だ」

「瑛一・・・」

「俺は、店長になる」

「わたし、死ぬ」亜美は、わめいた。「その死をも背負って、俺は生きる。あばよ」

「待ってよ・・・」亜美は必死に涙を抑えながら言った。「最後の、frosted glass・・・」

「見るな」瑛一は言った。「見るなよ」

しかし、亜美はもうPCを検索していた。「今日の未明に、書いたの」亜美は、読み上げた。

「半ば狂いかけていた私を救ったのは

あなたの第三の顔だった

それまで気づかなかった

あなたが詩人であり会社員であると同時に優れた臨床倫理士であったことを

思い出すと

どのカウンセラーのネクタイの下にも

私に対する押えきれない男の激しい衝動があって

それを実行に移しつつ

なおかつ私を病から救い

そしてなおかつ私とあなたの社会的地位を見事にキープしたのは

パーフェクトに若すぎるあなただけだったと

秀でたマッドサイエンティスト達とパワーゲームを繰り広げてきた厄介なクライアントが

若き天才に初めて完敗」

瑛一は、息を吐き出すように言った。「・・・最後に聞く。亜美、君はいくつなんだ?」

「37よ」亜美は破れかぶれに答えた。

「まだ、間に合う」瑛一は言った。「それだけの詩が書けるんだ。自分の幸せは、自分で掴め、亜美」

「瑛一は・・・?」

「俺は、全てのミーティングから縁を切る」瑛一は最初の静かな声で言った。「さよなら亜美」

電話は、切れた。

亜美は、泣きながら思った。(あの、自分勝手で、ならず者で、私を捨てて振り向きもしないあの人が)

(あの人が)

(私の、ハイヤーパワーだったのだ)

(あの人は、私を忘れてしまう・・・もう、戻って来ない)

(でも)

亜美は、涙を拭きながら思った。

(まだ、芳子さんがいる・・・大ヶ丘先生がいる・・・そして、桂さんがいる)

(自分の足で、歩いていこう・・・出来る限り)




注・ハイヤーパワー。信ずべきもの。無条件の愛、人間を超越した理性的存在、神、自然、音楽、などを指す。
関連記事



もくじ  3kaku_s_L.png Morning Glory
もくじ  3kaku_s_L.png Black short short
もくじ  3kaku_s_L.png DOWN BEAT
もくじ  3kaku_s_L.png 刻印-sin-
もくじ  3kaku_s_L.png あとがき
もくじ  3kaku_s_L.png 現実の林檎
もくじ  3kaku_s_L.png 短編いくつか
もくじ  3kaku_s_L.png その後の短編
【なわとび】へ  【第四十七章】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメン卜投稿不可です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【なわとび】へ
  • 【第四十七章】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。