にがくてあまい午後

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籠の鳥ーJAILBIRD-

第五章


亜美は、その後、ぬるい風呂に入った後、サイトウさんが滅多に取り替えないシーツと羽根布団カバーでうつらうつらしていた。・・・亜美は、風呂の沸かし方を知らない。シーツの取り換え方も知らない。・・・ただ、そこにあるもので寝て、そこにある風呂に入るだけだ。

夜、亜美はまたひろきさんと堪らずに交信していた。

「ねぇ、TAXYの道順を覚えるのって、大変じゃない?」

「それほどでもないさ。普段、道を走りまわっていれば、ちょろいもんだよ」

そうかしらん。

亜美は、いつの間にかまたうとうとしていた。

「亜美ちゃん、亜美ちゃん」

「え?」

「今度会わないかい、直接さ」

亜美は、暫くPCの画面を注視していた。

「いいえ、それは出来ないわ。ごめんなさい」

その夜、亜美は久しぶりに、父親と激しい喧嘩をした。

「どうして、私が医者にかかっていて、お母さんがカウンセリングに通わないの。おかしいわ」

「どこがおかしい、亜美。お前は病気だ。お母さんは、どこも病気じゃない」

「いいえ、あの人は病気よ。私の同窓会の幹事に、こっそり手紙を書いて、『この子は引きこもりですからどうかよろしく』と知らせてしまう。サイトウさんにだって、『この子は病気ですから』って、やとった時から・・・」

「それは、お前のことを心配しているからだ」

またか。またか、と亜美は思う。

「違うわ。・・・近所の人にだって、言いふらしている。『この子、引きこもりですから』って・・・。そのおかげで、同窓会だって、どんな男性も私には声をかけてこない。近所の人だって、挨拶もしてくれない。・・・せめて、『家事手伝いです』と、言えばいいじゃないの」

「お前は、家事の手伝いをしていない」

亜美は、かっとなった。居間の横には、父親の趣味で対面式ではないが、キッチンがある。・・・亜美は、キッチンに駆け寄って包丁を探した。

「何をしているんだ、やめなさい」

亜美は、包丁を自分の頭上でめちゃくちゃに振りまわした。

「お母さんを、カウンセリングに通わせて。・・・・通わせて」

父親は、すばやくよけると、元々反りかえった背中を、いよいよ反らせて叫んだ。

「この家の、家長は私だ、亜美。なんでも私が、私の好きなように決めるんだ」

「いやぁああ」

亜美は、包丁を持って、父親が座っていたソファに突進した。上等なソファに、いくつか傷が出来た。

「分かった・・・」

父親は、息を弾ませながら体勢を立て直して言った。

「お母さんを、カウンセリングに通わせる。・・・ただし、一度だけだ・・・」

亜美は、気を失いかけていた。
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