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籠の鳥ーJAILBIRD-

第六章

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それからどうやって、部屋に戻ったのか、覚えていない。亜美は、暗いデスクの上で、いつものように同じページを開いた。

HELP ME.

HELP ME.

亜美は、おそるおそる、しかし大胆に書き込みをした。頭は、星一つない空のように澄み切っていた。

「皆さん。私、父にナイフを振りかざしました。助けてください」

皆、これには驚いたのか、流石に沈黙が続いている。荒らしさえも、来ようとしない。

暫くして、返信がひとつだけあった。

「亜美ちゃん、落ち着いて。ひろきです」

「・・・」

「僕は、その程度の事、なんとも思わない」

「・・・どうして・・・?」

「僕は、小さい時、義父にいつも日本刀で折檻されていた。何度も、何度も、帰り打ちしようとしたよ。でも、いつも負けた」

「そ・・・」

「母は、それを笑いながら見ていたよ」

「ひどい・・・」アン小母さんが、ようやく割り込んできた。「ひどい母親だわ。そんな人が、この世にいていいのかしら?」

「亜美ちゃん、ねぇ、落ち着いて」ひろきさんは繰り返した。

「僕も、躁うつ病になった事があるから分かる。・・・最近、何か薬が増えなかった?書き込みの調子から、気になっていたんだ」

増えた薬?

ある。

「SSRI。ひとつ増えたよ・・・」

「それだ。それを抜かないといけない。・・・そして、3日間は部屋でおとなしくしていること。出来るね?」

出来る。いや、出来なければいけない。

「それから、お金を多分これから使いたくなる。だから、貯金は少しを残して定期にまわすこと。・・・それから・・・」

「分かった。分かった、ひろきさん。・・・すぐに、ドクターに電話するわ」

「そうして」

ぷつっと、連絡は切れた。

亜美は、夢中で薬の袋を探した。・・・白い、小さな錠剤。ある。片隅に。クリニックに、今すぐ電話しなければ。でも、あそこは夜間は誰もいない筈だ。

これは、亜美が初めて自分の決断を迫られた時だった。

前に一度、飛び込みで軽いパニック障害の患者の人が来た事がある。・・・病院で、貰った薬が、どうしても怖くて飲めなくて、お守り代わりにしているというのだ。すぐさま、白虎さんが返答していた。

「その薬は、副作用の少ないものだけれど、2週間飲まなければ、効き目はないですよ」と。・・・その人は、安心して服用を始めたようだった。

仲間を信用しよう。

亜美は、おそるおそる小さな白い錠剤だけを、袋の隅から、うまく切り取った。前のドクターも言っていた。・・・薬は、1度飲み忘れたからと言ってどうということはない、と。

明日、ドクターに許可を得よう。そして、今日と明日と明後日は、どんなに辛くても、この部屋に「引きこもって」いなければいけない。躁状態で、殺人者になりたくなかったら。・・・食事は、サイトウさんに差し入れてもらおう。

「保護室」に比べたら、ずっと楽な筈だ。

亜美は、自分で自分を守る決心を、した。
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