にがくてあまい午後

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Morning Glory

その13

お正月が、来た。

あたしは、一人ぼっちで賽銭箱の前でポンと手を合わせた後、デパートで福袋を買った。・・・中に入ってたうさぎちゃんのグルミに、「こうじ」って名前をつけて、ちょっとほっとした。

浩司は、3ガ日は忙しいと言って、メールは来そうにない。

あたしは、めずらしくバイブちゃんもローターも使わず、AVも見ないでのんびりした。体に開放感があった。何もしないって、いいもんだと思った。

でも、夜ベッドに入ると、浩司の暖かい体を思い浮かべて、切なかった。

あたしは段々フツーの女になっていたのかも知れない。

4日、あたしは思い切って浩司に自分の気持ちを、初めてぶつけた。

「あけましておめでとう、浩司。今年もよろしく」

「あけましておめでとう、レイコ。寒いね」

「ねぇ・・・。浩司。”独身だ”って言ってたよね?隣の県境に住んでるって言ってたよね?」

「そうだよ。それがどうかしたの?」

「・・・会いたいよ、浩司」

「・・・」

「どおして黙るの・・・?浩司と、一度和幸のとんかつ食べたいんだよ」

「それだけ?」

「それだけって、何よ」

「俺は、責任取れない事したくないんだよ」

(もう、やっちゃってるんだよ浩司、)という言葉を飲みこんで、あたしは言った。

「だからさ・・・。ただ、食事したいの。それだけなの」

「・・・分かった・・・」

「ほんと?ほんと?」

「俺、嘘はつかないよ。だけど、開いてるの明後日だけだ」

「構わないよ!・・・で、どこで待ち合わせするの?」

「M駅。あとでまた、メールする」

あたしは、携帯を固く固く握りしめた。・・・とうとう。浩司に会えるんだ。

あたしは、クローゼットをひっかきまわした。一番。一番。綺麗に見える服でいかなきゃいけない・・・。

迷ったあげく、ベージュのワンピにカーキのモッズコート、それに赤と緑の花柄のストールをあたしは選んだ。それに、黒のトレンカとエナメルのパンプス。・・・少し、ギャルめのメイクを念入りにしよう・・・。

そして。

1月6日。

ついにあたしは、浩司に会った。

M駅の改札で指定された時間に待ってると、メールが来た。「俺、レイコと別の改札にいるの。移動して」

「うん・・・」

「レイコの姿が見えたら、電話するよ」

あたしは、別改札に向かうと、鳴ってる携帯を握りしめてあちこちを目線で探した・・・

いる。

携帯に、顔を近づけてる人がいる。・・・浩司だ。

浩司は、顔を上げて、言った。

「レイコちゃん・・・?」

「うん」

あたしが見た浩司は、どこから見ても33だった。・・・メールの内容からして、どことなく29くらいの外見を想像してたけど・・・。でも、その感じのいい笑顔は、あたしがこの半年間想像してた通りだった。

だけど。

浩司は、どことなく、くたびれていた。・・・仕事も、忙しいんだろう・・・

でも、あたしが感じたのは。「所帯持ち」の33の男の疲れ加減だったのだ。
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